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根管治療

根管治療に失敗するとどんな症状が出るの?原因や対策を知っておこう

根管治療 失敗 症状

根管治療は、歯の根管にある、むし歯に感染した歯の神経や細菌、過去に詰めた古い充填材等を除去していく治療法です。しかし、根管治療には失敗する可能性もあります。根管治療に失敗すると、どのような症状が出るのでしょうか?
本記事では根管治療の失敗とその症状について、以下の点を中心にご紹介します。

  • 管治療が失敗する原因
  • 根管治療の成功率
  • 根管治療が失敗した後の治療

根管治療の失敗や症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

根管治療の失敗とは

根管治療の失敗とは

根管治療の成功率を教えてください
日本の歯科医療はアメリカやヨーロッパと比べて遅れを取っている部分があるため、根管治療の成功率は必ずしも高くないとされています。
政府統計による『保険診療請求回数の全国集計』(2010年7月)の公表データによると、保険診療による根管治療の成功率は約30~50%とされ、約50~70%の治療が失敗に終わるか、または再治療が必要となる場合が多いようです。保険適用の根管治療にはさまざまな制限があり、これが十分な治療を行うことが難しい一因となっています。また、神経を抜いた後の歯は、健康な歯に比べて丈夫ではなく、繰り返し治療を行うことによって大きなダメージを受けることがあります。その結果、治療を受けた歯が将来も健康に残る確率は低くなる傾向にあります。
これらの要因から、根管治療の成功率は比較的低いと考えられており、この治療を受ける際には慎重な判断が求められます。
根管治療が失敗する原因は何ですか?
根管治療が失敗する原因は、主に治療中の細菌侵入と感染部の取り残しに関連しています。治療中に唾液中の虫歯菌や歯周病菌が治療歯に触れることで、根管内を丁寧に洗浄・消毒しても再感染を引き起こすことがあります。
再感染を防ぐための手段として、「ラバーダム防湿」という処置が挙げられます。

さらに、「感染部の取り残し」が根管治療の成功を妨げる別の要因として挙げられます。
虫歯が神経に達した場合、歯の中心を通る歯髄を抜く処置(抜髄)が必要になります。しかし、根管の奥は細く湾曲していて非常に複雑な構造をしており、肉眼での確認は困難です。
このため、細菌を残したまま治療を終えるリスクが生まれ、これが日本の根管治療の成功率が低いといわれる原因の一つと考えられています。

根管治療の失敗を防ぐために治療前に確認すべきことを教えてください
根管治療の失敗を防ぐためには、治療前にいくつか確認すべき点があります。
まず、根管治療の成功率を左右する大きな要素として、「ラバーダム防湿」の処置があります。
ラバーダム防湿とは、唾液と一緒に細菌が根管に入り込むのを防ぐ為の重要な処置です。
ラバーダム防湿は約150年前にアメリカで生まれ、発祥国では法律で義務付けられているほど重要な基本処置ですが、日本ではまだ普及率が低い状況にあります。そのため、根管治療を受ける場合は、ラバーダム防湿を行っている歯科医院の選択が望ましいです。

また、ラバーダム防湿に加えて、マイクロスコープやCT等の設備も重要です。
マイクロスコープを使用することで、肉眼では見えない根管の奥まで拡大して確認できる為、感染部分を取り残し難くなります。
これにより、治療精度の向上につながり、感染部を除去するまでの治療回数や治療時間の短縮が期待できます。

根管治療が失敗した時に起きる症状

根管治療が失敗した時に起きる症状

痛みがある場合、何が起きている可能性がありますか?
根管治療後に痛みがある場合、いくつかの異なる原因が考えられます。
根管治療後に痛みがある場合、すぐに失敗と判断するのは難しいとされていますが、治療中には痛みや腫れが起こることがしばしばあります。
根管充填後も同様で、多少の痛みが続くこともあります。
基本的にはその後に徐々に落ち着いていきますが、何もしなくても感じる痛みは緊急性が高く、早急に歯科医院で診察を受ける必要があります。
腫れている場合、何が起きている可能性がありますか?
根管治療後に顔が腫れている場合、かなり深刻な状況である可能性があります。
特に、顔の腫れが明らかである場合、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」という細菌感染症にかかっている可能性があります。
蜂窩織炎とは、皮膚とその下の組織に生じる細菌感染による炎症です。
蜂窩織炎は急速に発症し、赤み、腫れ、熱感、痛みといった局所的な症状に加え、発熱や倦怠感などの全身症状を伴います。重篤な場合には入院治療が必要となることもあります。

口腔底蜂窩織炎(舌の下部にある口腔底に発症する)の場合は更に注意が必要で、開口障害、発音障害、嚥下障害などが起こりやすく、重篤な場合は呼吸困難を引き起こす可能性もあります。

膿が出ている場合、何が起きている可能性がありますか?
根管治療後に膿が出ている場合、これは歯茎や歯の内部で細菌感染が起きている証拠です。
膿の存在は、体の免疫システムが細菌と戦っていることを示しています。膿が流出することで、歯茎の内部の圧力が低下し、結果として痛みが意外にも少なく感じられることがあります。
しかし、これは感染が進行している状態であり、適切な治療を行わないと症状が悪化する恐れがあります。
出来物ができた場合、何が起きている可能性がありますか?
根管治療後に出来物ができた場合、それは「フィステル(サイナストラクト)」の可能性があります。これは、歯の根の先に細菌が増殖し膿を作り出した結果、形成されます。
フィステルは、痛みを伴うこともあり、小さな穴から膿が排出されることが特徴です。
原因は、不完全な根管治療による病原体の取り残しや、治療中の根管の損傷等が考えられます。
フィステルは、歯茎の出来物であると同時に、穴でもあるので、溜まった膿は定期的に排出されます。そのため、一時的には症状が自然と改善しますが、何もせず放置していると、痛みや腫れといった症状がどんどん悪化していきます。
最終的には原因となっている歯の抜歯を余儀なくされることもあります。
違和感がある場合、何が起きている可能性がありますか?
根管治療後に違和感を感じる場合、必ずしも治療が失敗という訳ではなく、いくつかの理由が考えられます。
まず、根管治療を受けた歯が落ち着くまでには約3~6ヶ月かかることがあり、この期間中には「噛んだときに響く」「強い違和感」「鈍い痛み」が生じやすくなります。
これらの症状は、治療後の自然な経過として考えられています。

また、「歯が浮いたような違和感」が出ることもあります。 これは一過性のものであり、通常は約2〜3日で治まるとされています。
その為すぐに病院へ行く必要はありませんが、症状が長引く事や、歯が動く事があるようであれば、治療が必要なサインかもしれません。

また、根管治療が失敗していると、体の免疫力が低下し、根の先に潜んでいた細菌が増殖し、違和感を感じることがあります。
さらに、根管治療後に痛みが続く場合には神経障害性疼痛が原因していることもあります。
この場合は専門的な治療が必要になります。

治療後の違和感は多くの場合一時的なものとされていますが、症状が持続する場合や明らかに異常を感じる場合は、再度歯科医師に相談することが重要です。
早期に適切な診断と治療を受けることで、より深刻な問題を防ぐことにつながります。

根管治療が失敗した後の治療

根管治療が失敗した後の治療

根管治療失敗後に抜歯する可能性はありますか?
根管治療失敗後に抜歯を検討することは、可能性は低いですが、あり得ることです。

根管治療が失敗した場合、最終的に抜歯になる可能性があります。
根管治療は複雑で難易度の高い治療であり、時には最善の努力にも関わらず成功しないことがあります。

根管治療が失敗した場合の再治療として、抜歯よりもまずは「再根管治療」が行われます。これは、根管内の感染部分を取り除く方法です。
もし自由診療での再根管治療でも問題が解決しない場合は、「歯根端切除術」という外科的な処置が考慮されます。
基本的な適応は前歯、ギリギリ小臼歯くらいまでなので、全ての歯には適応が難しいとされています。
自由診療での(再)根管治療や外科的処置を施しても症状が改善しない場合、感染の拡大を防ぐため、最終的な治療選択として抜歯が選択肢となります。

また、根管治療を繰り返していると、歯は少しずつ弱くなっていきます。
神経を取った無髄歯は血管がなく栄養が届かないため、時間とともに劣化していきます。この劣化により、歯根の破折が起こりやすくなり、最終的に抜歯が必要になることもあります。
特に、根管治療を受けた歯は、有髄歯(神経が残っている歯)より寿命が短くなる傾向があります。

根管治療失敗後にどのような治療を受けられますか?
根管治療が失敗した場合、再治療の選択肢は主に3つあり、「自由診療での(再)根管治療」「歯根端切除術」そして最終的には「抜歯」が考慮されます。

  • 自由診療での(再)根管治療:
    自由診療での(再)根管治療とは、自費で受ける根管治療を指します。
    根管治療には、保険と自費、2種類の治療法があります。
    日本における保険の根管治療では、使用できる薬剤や治療の工程が限られている為、治療の精度が低くなる傾向にあります。
    自由診療での(再)根管治療では治療の成功率を高める為、マイクロスコープ、ラバーダム、ニッケルチタンファイル等を使用し、根管内を洗浄・消毒します。
  • 歯根端切除術:
    根管治療で症状の改善が見られない場合、外科的治療として歯根端切除術が行われることがあります。
    これは、根の先端の一部と嚢胞を除去する処置で、根の先を歯科用セメントで封鎖します。
    根の形状が複雑で通常の根管治療が難しい場合や、根の先端が損傷している場合に適用されます。
  • 抜歯:
    自由診療での(再)根管治療や外科的処置を行っても症状が改善しない場合、抜歯が必要になることがあります。
    これは、感染が歯茎の歯周ポケットまで広がってしまい、再治療が効果を発揮しない場合に考慮されます。

根管治療の失敗には様々な原因があり、再治療を繰り返すほど歯が弱くなることもあります。
事前によく調べ、自身が信頼できると感じた歯科医院を選ぶことが重要です。
また、治療後も定期的なフォローアップと適切なケアが必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで根管治療の失敗とその症状についてお伝えしてきました。
根管治療の失敗とその症状についてまとめると以下の通りです。

  • 根管治療が失敗する原因は、主に治療中の細菌侵入と感染部の取り残しなどがある
  • 根管治療の成功率は約30%から50%であり、50%から70%の治療が失敗するといわれている
  • 精自由診療での(再)根管治療や外科的処置を施しても症状が改善しない場合、最終的な治療選択として抜歯が考慮されることがある

これらの情報が皆様のお役に立てたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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