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根管治療

根管治療を保険適用外で行う場合の費用はどのくらい?保険診療と自由診療の違いを詳しく解説

根管治療を保険適用外で行う場合の費用はどのくらい?保険診療と自由診療の違いを詳しく解説

根管治療は、歯科治療のなかでも難易度が高く、成功率が低いといわれる治療です。さまざまな診療機器を活用して成功率を高めることも可能ですが、その場合は保険適用外となるため、治療費用が心配という方も多いのではないでしょうか。
この記事は、保険適用外の根管治療にどのような特徴があるのかや、費用の目安などを紹介していきます。

根管治療とは

根管治療とは

根管治療は、歯の根っこ部分にある、神経や血管がとおる根管と呼ばれる部分を対象として行う治療です。
むし歯が進行して歯髄まで感染が広がってしまうと、神経への刺激などによって持続的な強い痛みが生じるようになりますが、根管治療で炎症を起こしている神経を除去することで、痛みを解消することができます。また、根管内の感染を徹底的に除去することでむし歯の進行を止め、歯を残したままにすることが可能となります。

根管治療の対象となる症状

根管治療は、主にC3やC4と呼ばれる状態の、重度に進行したむし歯を対象として行われる治療です むし歯にはC1からC4という4つの段階があり、歯の表面であるエナメル質までしか感染が進行していない状態がC1、その内側の象牙質と呼ばれる箇所に進行している状態がC2、そして歯髄に進行した状態がC3と呼ばれます。
C3の状態になると神経が刺激を受けるため持続的な強い痛みが現れますが、それでも治療をせずに放置していると、やがて神経が壊死し、歯の大部分が溶けてC4と呼ばれる段階に以降します。 C2までのむし歯であれば、感染部位を削って埋めるという方法で治療が可能です。しかし、C3までむし歯が進行してしまうと、痛みを取り除くためには神経を除去する必要があり、またむし歯が進行するスピードが早くなって根管内の深い部分まで細菌が広がりやすくなるため、根管治療が必要になります。 なお、C4までむし歯が進行し、神経が壊死するとむし歯による痛みはなくなりますが、壊死した歯髄などの影響で膿が作られ、この膿が歯根の先に蓄積されると腫れや強い痛みが生じるため、この場合も根管治療で感染を取り除く対応が必要です。ただし、細菌の感染が深く歯を残したままにすると口腔内の健康状態に高いリスクとなる可能性がある場合は、根管治療ではなく抜歯が選択されることもあります。

根管治療の流れ

根管治療は、一般的に下記の流れで行われます。

  • 麻酔の実施
  • むし歯の感染部位を削って歯髄を露出させる
  • 専用の器具で歯髄を取り除く(抜髄)
  • 根管内に器具をとおしやすくするため内部を広げる(根管拡大)
  • 根管内を丁寧に清掃する
  • 根管内に殺菌力がある薬剤を充填する
  • 仮蓋をして一定期間置く
  • 根管内部の空間をゴムなどで詰める
  • 蓋をして土台を形成する
  • 被せ物を作って装着する

根管治療においては、専用の器具を使用して丁寧に根管内の感染を除去していきますが、それでも歯の内部に細菌が残ってしまうことがあるため、殺菌力の高い薬剤を詰めて仮蓋を行い、薬剤によって徹底的な殺菌を行います。場合によっては薬剤の入れ替えなどが複数回行われることもあり、それによって通院回数が多くなる場合もあります。

保険適用の根管治療と保険適用外の治療の違い

根管治療を保険適用で行うためには、実施する検査の内容や、治療に使用する診療機器および薬剤などを、国によって定められた内容に限定する必要があります。
一方で、保険適用外の治療は特に治療法についての制限がないため、先進的な診療機器や薬剤を利用することができます。そのため、保険適用外の根管治療は、根管治療の成功率を高めたり、より歯を多く残したりしやすい点が特徴です。 例えば、根管治療の精度を高める診療機器としてマイクロスコープの使用が挙げられます。保険診療では一部の症例にしか認められていませんが、自費診療であればどのような症例でも利用可能です。
マイクロスコープは治療部位を拡大することによって、肉眼で判断が難しいような細菌感染を確認しながら治療を行えるため、余計な部分を削らず、かつ感染部位をしっかり除去しやすくなります。 ただし、保険適用外の場合は治療費用を全額患者さん自身が負担する必要があり、歯科医院が治療費用を自由に設定できるため、経済的な負担が大きくなりやすいという特徴もあります。

保険適用の根管治療について

保険適用の根管治療について

保険適用で行う根管治療は、国によって定められた手順、そして決まった診療機器や器具を使用して行われます。
保険適用の治療におけるメリットやデメリット、必要な費用などを解説します。

保険適用の根管治療のメリット

保険適用の根管治療におけるメリットとしては、やはり費用負担を抑えやすい点が挙げられます。
年齢などにもよりますが、自己負担が治療費用の1~3割程度で済むため、費用負担を抑えることができます。また、保険適用の治療は国によって治療費用が定められているため、全国どの歯科医院で治療を受けても費用が同じです。 また、保険適用の治療は手順や使用する器具などが決まっているため、どの歯科医院でも安定した水準の治療を受けやすい点もメリットであるといえます。

保険適用の根管治療のデメリット

保険適用の根管治療は治療の方法や使用可能な器具などに制限があるため、よりよい治療法があってもその治療を受けることができない点が大きなデメリットです。
根管治療は歯科治療のなかでも難易度が高く、特に保険適用の治療の場合、細菌を除去しきれずに再治療が必要になることが多いと言われています。
再治療になってしまうと何度も通院する必要が生じるため、時間や経済的な負担がかかりやすくなります。
また、再治療を繰り返せばそれだけ歯を削る量が多くなる可能性も高まり、結果として歯の寿命を短くしてしまう可能性が高い点もデメリットです。

保険適用の根管治療の費用

保険適用での根管治療の費用は、厚生労働省によって定められた診療報酬点数によって決定されます。
診療保険点数は一つひとつの検査や処置に対して定められているため、行った処置の内容に応じて治療の費用が決定されます。 根管治療の場合、むし歯を削る処置と、歯髄を取り除く抜髄、根管の清掃、再感染を防ぐための薬剤充填、そして根管内部を埋めて蓋をする最終処置といった処置が必要となり、3割負担の場合で数千円の費用がかかります。
治療対象となる歯に根管が何本あるかによっても費用が異なり、根管が一本しかない前歯より、根管が3本以上あるような奥歯の方が治療費用も高くなります。 なお、実際の治療においては、根管治療の費用以外にも、噛み合わせを回復させるための補綴物に関する治療費用などがかかります。

保険適用外の根管治療について

保険適用外の根管治療について

保険適用として定められている方法以外の治療をする場合は、保険適用外の治療になります。日本では保険適用の治療と保険適用外の治療を組み合わせることが禁止されているため、保険適用の費用にプラスして保険適用外の治療を受けるということはできません。 保険適用外の治療には、下記のようなメリットやデメリットがあります。

保険適用外の根管治療のメリット

保険適用外の根管治療は、使用可能な器具や薬剤に制限がないため、成功率を高めるためのさまざまな手段を利用できる点が大きなメリットです。
欧米諸国の根管治療は日本と比べて成功率が高いとされていますが、保険適用外の治療であれば、それと同じような治療を受けることができるため、再治療などのリスクを抑えることができます。 また、マイクロスコープなどの診療機器を使用することで歯を削る量を抑えられるので、治療後の歯を長持ちさせやすい点もメリットといえます。

保険適用外の根管治療のデメリット

保険適用外の根管治療は、保険適用の治療と比べて費用が高額になりやすい点がデメリットです。治療費用の全額を患者さん自身が負担する必要があり、歯科医院によって金額も異なるため、数十万円という費用がかかることもあります。 また、保険適用外の治療は、歯科医院によって実施する治療内容も異なるため、治療の品質にバラつきが出やすい点もデメリットといえるでしょう。使用する機材や薬剤、治療方法などにおいて歯科医院ごとに特徴があるため、クリニック選びをより慎重に行う必要があるといえます。

保険適用外の根管治療で使用される治療器具

保険適用外の根管治療においては、下記のような治療器具を使用することができます。
なお、下記に紹介する器具のうちマイクロスコープや歯科用CT、ニッケルチタンファイルは、症例によっては保険適用でも利用できる場合があります。

マイクロスコープ

マイクロスコープは、簡単にいえば歯科用の顕微鏡です。治療部位を大きく拡大しながら治療を行うことができるため、肉眼では見えないような細菌の感染部位もしっかりと見つけ、徹底的な除去を行いやすくなります。
感染部位を詳細に把握できるため、歯を削りすぎない治療を行える点もマイクロスコープの特徴です。

歯科用CT

歯科用CTは、X線をさまざまな角度から照射して口腔内を立体的に撮影する検査機器です。一般的なX線による検査の場合は1方向からの照射のため、見えにくい部位ができてしまい、複数の根管があるような歯の場合、一部を見落としてしまうような場合もあります。
歯科用CTで詳しい検査を行うと、こうした見落としを抑え、より質の高い治療につなげやすくなります。

ラバーダム

ラバーダムは根管治療を行う歯にかけるゴム素材の器具です。ラバーダムを使用することで治療を行う歯の内部に唾液が進入することを防ぎ、唾液に含まれる細菌による感染を防止します。

ニッケルチタンファイル

ニッケルチタンファイルは、根管内部の清掃に使用する器具です。従来の保険適用による根管治療はステンレスファイルという器具を使用して行われますが、ステンレスファイルは柔軟性が少ないため、湾曲している根管などの場合は根の先まで治療できないことがあります。
ニッケルチタンファイルは柔軟性があるため、根の先までしっかりと清掃を行いやすく、再感染を予防することができます。

MTAセメント

MTAセメントは、高い殺菌力を持ったセメント素材です。固まる際に膨張して根管内を隙間なく封鎖することで、細菌の侵入を防ぐ性質や、歯根膜や骨などの再生を促進する効果も期待できるとされています。
一方の保険適用の根管治療においては根管内部にガッタパーチャと呼ばれるゴム製の素材を詰めます。ガッタパーチャには殺菌力がなく、単独では歯質に接着しないため、接着剤(シーラー)を使用しますが、接着剤が時間経過により収縮する場合もあります。

保険適用外の根管治療の費用

保険適用外の根管治療は、特に費用についての制限もないため、歯科医院によって費用が異なります。治療費用を低めにしている歯科医院もありますが、費用の負担を全額患者さんが行うため、保険適用の治療費用と比べて少なくとも3倍以上の費用にはなるといえるでしょう。
一例として、神奈川歯科大学附属病院で行われている保険適用外の根管治療の場合、根管治療のみにかかる費用が6万円から12万円ほどとなっています。

かぶせ物の種類と費用の目安

かぶせ物の種類と費用の目安

重度のむし歯の治療を行う場合、根管治療だけではなく、噛み合わせを回復させるためにはかぶせものの治療も必要です。
かぶせ物にも保険適用のものと保険適用外のものがありますので、それぞれの費用感について紹介します。

保険適用のかぶせ物

保険適用で作製するかぶせ物は、銀歯かハイブリッドセラミックという素材で作成されるCAD/CAM冠と呼ばれるものです。
銀歯の場合の治療費用は4,000~5,000円程度、CAD/CAM冠の場合は5,000~6,000円程度で、経済的な負担を抑えた治療が可能です。

保険適用外のセラミック

ハイブリッドセラミックでのCAD/CAM冠以外は、セラミックを使用したかぶせ物は保険適用外の治療となります。
セラミックの歯は歯科医院によっても治療費用が異なり、場合によっては1本あたりで数十万円の費用がかかることもあります。

保険適用外の金歯

銀歯ではなく、金歯の治療も保険適用外です。金歯は銀歯よりも金属アレルギーなどのリスクが抑えられますが、昨今値段が高くなっている金を素材として使用することもあり、治療費用は少なくとも十数万円と高額です。

まとめ

まとめ

保険適用外の根管治療は、費用が高くなるというデメリットはあるものの、先進的な治療器具や薬剤を使用可能であり、なるべく高い成功率の治療を受けたいという方にはおすすめできる治療法です。
再治療のリスクを減らすことで、結果的に負担が少ない治療になるというメリットもありますので、根管治療を受ける際には保険適用外の治療も含めて歯科医師とよく相談し、自分にあった治療法を選択するようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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