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根管治療

歯の神経を抜く費用相場|保険診療と自由診療の違いも解説

歯の神経を抜く費用相場|保険診療と自由診療の違いも解説

歯の神経を抜く治療は、通常のむし歯治療よりも処置の内容が複雑で、治療期間も長くなります。そのため歯の神経を抜く治療にどのくらいの費用がかかるのか不安に感じている方もいるのではないでしょうか。ここではそのような歯の神経を抜く治療の必要性や費用相場、保険診療と自由診療の違いについて詳しく解説をします。歯の神経の治療費が気になっている方は参考にしてみてください。

歯の神経を抜く治療

歯の神経を抜く治療  はじめに、歯の神経を抜く治療の必要性や対象となる症例、抜きたくない場合の選択肢などを解説します。

なぜ歯の神経を抜く必要があるのでしょうか?
歯の神経は、とても繊細な組織なので、細菌感染などが起こると保存が難しくなります。つまり、歯髄炎などを発症すると自然治癒が見込めず、放置によって歯の痛みが強くなったり、細菌感染の範囲が広がったりするため、適切なタイミングで抜く必要があります。歯の神経を抜かなければならないかどうかは、重症度や症状によって変わるので、歯の神経に炎症が起こる歯髄炎を発症したからといって、すべてのケースで抜髄を行わなければならないわけではありません。
歯の神経を抜く必要がある症状を教えてください
次に挙げる症状が見られた場合は、歯の神経を抜く必要が出てきます。

【症状1】重症化したむし歯
むし歯の進行度は、CO・C1・C2・C3・C4の5段階に大きく分けられます。C1までは、歯の神経が侵されるリスクが低いため、抜髄をすることはまずありません。象牙質のむし歯であるC2からは、治療の際に神経が露出したり、もうすでに神経が細菌に感染していたりするケースもあることから、抜髄の必要性も生じます。C3は、歯の神経まで侵されたむし歯なので、ほぼすべてのケースで抜髄と根管治療が必要となります。

【症状2】外傷による神経の壊死
歯を強くぶつけたことで、歯の神経が死んでしまうことがあります。これを外傷による歯髄の失活といいます。壊死した歯髄を何もせずに放置していると、歯のなかで分解された神経や血管が歯質のなかに入り込み、歯を黒ずませることがあるため、抜髄と根管治療が必要となります。

【症状3】重度の知覚過敏
冷たい飲み物や食べ物を口にしたときに歯がキーンとしみる知覚過敏は、重症度によって治療法が大きく異なります。軽度から中等度の知覚過敏なら、歯の表面を薬剤でコーティングしたり、コンポジットレジンで修復したりする治療で症状の改善が見込めますが、重度になると歯の神経を抜かざるを得なくなります。そのため歯が慢性的にしみている場合はたかが知覚過敏と軽視はせず、早期に歯科を受診しておくことが推奨されます。

【症状4】歯に亀裂が入った
歯ぎしり・食いしばり、外傷などで歯に大きな亀裂が入った場合は、神経が露出することで抜髄が必要となることがあります。

歯の神経を抜きたくない場合はどうすればよいですか?
歯髄保存療法(しずいほぞんりょうほう)という、歯の神経を抜かずに残す治療法を選択しましょう。ただし、歯髄保存療法を適用できる症例は一部に限られるため、患者さんが希望すれば必ず受けられるというものではありません。

歯の神経を抜く場合の費用

歯の神経を抜く場合の費用 次に、歯の神経を抜く際にかかる費用について、保険診療と自由診療に分けて解説します。

保険診療で神経を抜く際の費用相場を教えてください
保険診療で抜髄を行う場合は、3割負担で3,000~6,000円程度の費用がかかります。保険診療なので、基本的にどの歯科医院でも同じ料金設定となっていますが、根管の数や歯の状態などによって抜髄の費用は変動する点に注意が必要です。
自由診療で神経を抜く場合の費用はどのくらいですか?
自由診療で抜髄を行う場合は、費用相場に大きな開きが見られます。なぜなら自由診療では、使用できる材料や機材に制限がかからないため、歯科医院によって治療の質が大きく変わるからです。歯の神経を抜く料金も自由に設定できることから、抜髄の費用相場を一概に語ることは難しいといえるでしょう。そのうえで大まかな相場を伝えるとすると、ほとんどのケースで、1本の歯で数万円から数十万円の費用がかかることがあります。

保険診療と自由診療の治療の違い

ここでは、歯の神経を抜く治療における保険診療と自由診療の違いについて解説します。

保険診療と自由診療で費用が違うのはなぜですか?
保険診療では、国が定めたルールに則って、個々の治療費用を計算します。歯を削る処置や神経を処置、修復物の装着など、一つひとつの診療行為の報酬は明確に定められているため、全国どの歯科医院で治療を受けても費用が同じになります。一方、自由診療は文字どおり治療にかかる費用を歯科医院が自由に決められる診療形態です。歯の神経を抜く処置を1本あたり10,000円で行っても100,000円で行ってもルール違反にはなりません。もちろん、費用が高いということは、それだけ質の高い医療を受けられることも意味するため、患者さんにとっては自由診療の方が適しているケースも少なくないのです。
保険診療がおすすめな人はどのような人ですか?
歯の神経を抜く際、保険診療を選択することが推奨されるのは、経済面を重視する場合です。歯の神経を抜く処置をできるだけ安価に行いたい、数万円や数十万円におよぶ治療費を支払いたくないという方には、自由診療ではなく保険診療が推奨されます。逆に、経済面は二の次で治療の質や成功率の高さに重きを置く場合は、保険診療ではなく自由診療がおすすめといえます。
自由診療で神経を抜くメリットとデメリットを教えてください
歯の神経を抜く治療で自由診療を選択すると、以下に挙げるメリットとデメリットを伴います。

◎メリット
・先進的な医療機器を使用できる
自由診療で行う抜髄では、歯科用CTやマイクロスコープ、医療用レーザーといった先進的な医療機器を使用できます。歯の神経が通っている根管は、複雑に入り組んでいるだけでなく、暗くて細いことから、肉眼に頼った治療では精度が落ちてしまいます。まず、歯や顎の骨を3次元的な画像で描出できる歯科用CTで精密検査を行うことで、根管の見逃しを回避でき、彎曲した根管への対処もしやすくなります。また、肉眼の数十倍程度まで視野を拡大できるマイクロスコープは、いうまでもなく抜髄を始めとした根管への処置の精度が大きく向上します。その他、医療用レーザーやニッケルチタンファイル、MTAセメントなども自由診療でしか使えない機材、薬剤であり、根管治療全体の質を高めてくれることに間違いはありません。ちなみに、歯の神経を抜く処置を行った後には必ず根管内を清掃して、薬剤を充填する処置も行わなければなりませんので、その点も事前に正しく理解しておきましょう。

・通院回数を減らせる
歯の神経を抜く処置自体は、保険診療でも短期間で終わらせることができますが、それに続く根管治療は数週間、場合によっては数ヵ月を要する可能性も否定できません。1回あたりの診療時間に制限がかからない自由診療の抜髄および根管治療なら、その期間を大幅に減らすことが可能となります。それはつまり通院回数を減らすことにもつながります。

・抜歯を回避しやすくなる
歯の神経を抜かなければならない症例は、抜歯の可能性も視野に入れておく必要があります。ただし、使用できる器材や薬剤、1回あたりの診療時間に制限がかからない自由診療であれば、そのリスクも抑えることが可能です。

◎デメリット
歯の神経を抜く治療自由診療で抜く場合は、保険診療よりも費用が高額になります。また、根管治療の技術や経験は歯科医師によって大きく変わるため、歯科医院選びには時間や手間がかかるというデメリットも伴います。

編集部まとめ

今回は、歯の神経を抜く費用の相場や保険診療と自由診療の違いについて解説しました。歯の神経を抜く治療を保険診療で行った場合は、1歯あたり3,000〜6,000円程度の費用がかかります。これを自由診療で行った場合は、1歯あたり数万円から数十万円の費用がかかるため、経済面を重視する方には前者がおすすめといえるでしょう。ちなみに、抜髄の後には、根管治療や被せ物治療も必要になることから、費用に関しても総合的に見なければなりません。特に自由診療は、提示された費用にどこまでの処置が含まれているのかを事前に確認することが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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