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根管治療

根管治療の治療回数と治療期間はどのくらい?治療の流れや注意点についても解説

根管治療の治療回数と治療期間はどのくらい?治療の流れや注意点についても解説

根管の治療回数の目安は約3~4回で、治療期間は約1ヵ月にわたることがあります。治療中は感染予防のための注意が必要であり、定期的な通院が求められます。
本記事では、根管治療の治療回数と治療期間について以下の点を中心にご紹介します。

  • 根管治療の治療回数・治療期間の目安
  • 根管治療の回数・期間が長くなる理由
  • 根管治療の回数・期間を短くしたい場合

根管治療の治療回数と治療期間について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

根管治療とは?

根管治療とは?

根管治療は、むし歯や外傷などによって歯髄(しずい)と呼ばれる歯の内部組織が感染した際に行われる治療法です。 歯髄には神経や血管が含まれており、栄養や水分を歯に供給する重要な役割を担っていますが、細菌が歯髄に侵入すると、激しい痛みや顔の腫れが生じることがあります。

痛みや腫れを放置すると、歯の内部や骨が溶けてしまう恐れがあるため、根管治療が必要になります。
根管治療は高い精度と技術が求められるため、難易度が高いとされていますが、歯を保存するために重要な治療となるため、しっかりと受けましょう。

根管治療の治療回数・治療期間の目安

根管治療の治療回数・治療期間の目安

根管治療の治療回数と治療期間は、症状の進行具合や治療対象の歯によって異なります。

【治療回数】
根管治療は通常、複数回の通院が必要です。
一度で終わるケースはまれとされ、平均的には2〜4回程度の治療が必要となります。
再治療が必要な場合や症状が重い場合は、さらに回数が増えることがあります。

  • 初回治療:前歯の場合は2〜3回程度、奥歯の場合は5〜7回程度が目安です。奥歯の根管は複雑なため、治療回数が増える傾向があります。
  • 再治療:再治療は初回治療よりも細菌が広がっているため、回数が増える傾向にあります。初回治療よりも多い通院が必要とされています。

【治療期間】
治療期間は通常、数週間~1ヵ月程度かかります。
治療の各段階で、根管内を徹底的に消毒し、感染を防ぐための時間が必要です。

  • 初回治療期間:1〜2週間ごとの通院が一般的で、大体1ヵ月程度かかることがあります。消毒と薬剤の密封が完了した後、かぶせ物の製作と装着に追加の期間が必要です。
  • 再治療期間:再治療の場合、感染の広がりが大きいため、治療期間が長くなることがあります。症状の進行具合によっては、数ヶ月間かかることもあります。

根管治療は細菌感染を除去するために複数回の消毒と治療が必要なため、違和感を感じたらすぐに歯科医院に相談することが推奨されます。

根管治療の回数・期間が長くなる理由

根管治療の回数・期間が長くなる理由

根管治療の回数・期間が長くなる理由を知りたい方もいらっしゃるかと思います。ここでは、治療期間が長い理由を詳しく解説します。

根管が複雑な形状をしている

根管治療が長引く理由の一つ目は、根管が複雑な形状をしている点が挙げられます。 根管が枝分かれしている場合、すべての通り道を徹底的に消毒する必要があるため、時間がかかり、通院回数も増える傾向にあります。
また、根管が迷路のように複雑な形状をしている場合、治療にさらに時間がかかる可能性があります。

特に奥歯の場合、根管の数が多く、それぞれが複雑な形をしているため、すべての根管をきれいに掃除するためには時間がかかります。1回の治療時間には限りがあるため、複数回に分けて治療を進める必要があります。

このように、根管治療の回数や期間が長くなる理由は、根管の形状が複雑であることが考えられます。
根管治療は精密な作業が求められるため、通院回数が多くなることを理解しておくことが必要です。

根管内の状態が悪い

根管治療が長引く理由の二つ目は、根管内の状態が悪い状態が挙げられます。
神経を抜くことになった原因が、深いむし歯によって神経が死んでしまい、放置された時間が長かった場合や、神経が腐敗して歯の根に膿が溜まり、痛みが出ているのに我慢していた場合です。
このようなケースでは、根管内の細菌感染が進行しており、2〜3回の洗浄では完全にきれいになりません。

例えば、神経を抜いた後に根管内がすぐにきれいにならず、根の先から膿や浸出液が上がってくる場合、この場合の消毒には4〜5回の通院が必要です。さらに、根管内の細菌感染がひどい場合は、治療が数ヵ月間に及ぶこともあります。
長期間の治療は歯の状態が悪いことを示しており、治療が難しくなる程リスクも高まります。
治療期間が長いと、歯へのダメージも大きくなり、最終的には抜歯が必要になることもあるため、早期の治療が重要です。

根管治療の回数・期間を短くしたい場合

根管治療の回数・期間を短くしたい場合

根管治療の回数や期間を短くしたい場合、どうすればいいのでしょうか。以下で詳しく解説します。

自由診療の治療を検討する

根管治療は保険適用で3割負担で受けられますが、通院回数を減らしたい場合は自由診療が適しています。
保険診療では、治療時間や方法、使用する器具や薬剤に厳格な規制があります。そのため、1回の治療時間を長く取って効率的に進めることが難しく、結果として通院回数が増えることが少なくありません。

一方、自由診療では制約がないため、より柔軟な治療プランを立てられる可能性があります。
例えば、1回の治療時間を延長して一度に多くの処置を行うことで、全体の通院回数を減らせます。特に忙しい方や、治療期間を短くしたい患者さんに適しているでしょう。

自由診療は保険適用外であるため、治療費は全額自己負担となり高額になりますが、通院回数を減らして時間を大切に使いたい場合や、より質の高い治療を受けたい場合にはおすすめです。
そのため、通院回数を減らしたいと考えている方は、自由診療に対応しているクリニックに相談し、適切な治療プランを見つけることをおすすめします。

充実した機材の歯科クリニックを選ぶ

根管治療の回数や期間を減らすためには、新しい機材が充実した歯科クリニックを選ぶことが重要です。
特に、マイクロスコープとラバーダムを採用している医院がおすすめです。

  • マイクロスコープ: マイクロスコープを使用すると、肉眼では見えない細部を約30倍まで拡大して観察できます。根管の正確な形状を把握し、適切な治療法や器具を選定できるため、治療がスムーズに進みます。また、再発のリスク低減につながります。
  • ラバーダム: ラバーダムは、唾液中の細菌が治療箇所に侵入するのを防ぐゴム製の膜です。根管治療を成功させるには、治療部位を清潔に保つことが重要なため、ラバーダムは唾液の侵入を防ぎ、スムーズに治療を進められます。
  • そのほかの先進機材: さらに、根管拡大を迅速に行うニッケルチタンファイルなどの先進的な器具の使用していることも重要です。根管治療の時間を短縮し、必要な通院回数を減らすことが可能とされています。

通院回数を減らしたい場合は、上記の機材が充実した歯科クリニックを選ぶとよいでしょう。

根管治療に詳しい歯科医師の診断を受ける

根管治療の回数や期間を短くするためには、根管治療に詳しい歯科医師に診てもらうことが重要です。症状の原因の正確な見極めや、適切な治療につながり、通院回数が減る可能性もあります。
特に、根管の形状が複雑で通院回数が多くなるケースでも、経験のある歯科医師であれば問題を迅速に把握し、適切な処置を施せます。

根管治療に詳しい歯科医師を見つけるには、歯科クリニックのホームページを確認しましょう。特に、根管治療をした経験や、根管治療の専門の医師の資格があるかを確認することが大切です。
このように専門性を持つ歯科医師に診てもらうことで、治療の質が向上し、通院回数や期間を短縮できる場合があるでしょう。

根管治療の流れ

根管治療の流れ

根管治療の流れを把握すると、治療回数や治療期間を理解できます。以下で詳しく解説します。

①検査

根管治療は、お口の中の状態を確認する検査から始まります。
まず口腔内の状態を目視で確認します。その後、レントゲンやCTなどの画像診断を行い、根管内の状態を正確に把握します。
これにより、感染の範囲や根管の形状、治療が必要な箇所を詳細に確認します。画像診断の結果をもとに、歯科医師は患者さんとカウンセリングを行い、治療方針を決定します。

②除去作業

検査が終ったら専用の器具を使って、根管内のむし歯菌に感染した神経や血管を除去します。
以前治療した歯の場合、根管内に詰まっている古い薬剤も取り除きます。 また、治療をスムーズに行うために、根管の拡大も行います。

③根管内部の殺菌・クリーニング

歯髄を除去した後は、根管内部の清掃と消毒を行います。 まず、専用の機器を使用して根管内の汚れを取り除きます。 その後、根管の長さを正確に測定します。 清掃と測定が終わったら、薬剤を用いて根管内を洗浄し、徹底的に消毒します。
むし歯菌や削った歯の破片が根管内に残ると再発の危険性があるため、この段階での消毒は重要です。

炎症が強い場合は、根管内に薬剤を入れ、仮のふたをして密閉し、数日間様子を見ます。 この作業は根管内が綺麗になるまで薬剤の注入と洗浄を繰り返し行います。

④薬を充填

根管内部の殺菌とクリーニングが完了したら、根管充填と呼ばれる処置を行います。 根管充填は、根管内のすみずみに歯科用のセメントを流し込み、空洞をなくすことで、むし歯菌が再び増殖しないための重要なステップです。

⑤かぶせものを装着

根管充填が完了したら、かぶせものを装着します。
まず、土台を作り、その上にかぶせものを取り付ける準備をします。通常は、噛み合わせなどを調整するために歯の型を取り、その型をもとに人工の歯を製作します。
この工程には時間がかかるため、歯科医院によっては仮歯を使うこともあります。 土台に合わせて製作されたかぶせものを装着し、最終的な噛み合わせを調整します。

根管治療の注意点

根管治療の注意点

最後に根管治療で注意した方がいいことを解説します。ぜひ参考にしてみてください。

治療を途中で止めない

根管治療を成功させるためには、途中で治療を止めないことが大切です。
根管治療は通院回数が多くなるため、途中で通院を止めてしまう患者さんも少なくありません。しかし、治療を中断すると、治療途中の根管内が再び細菌に汚染され、最悪の場合は抜歯が必要になることもあります。
痛みが一時的に収まると「もう大丈夫かも」と思うかもしれませんが、治療が完了するまでは継続的な通院が不可欠です。

また、治療と治療の間隔が空きすぎると根管内に再度細菌が入り込み、感染が起きる可能性があります。
お仕事などで忙しい方もいるかもしれませんが、できるだけ通院の間隔を空けず、短期間で治療を終えるようにしましょう。
根管治療を短期間で終わらせることは、歯を長持ちさせるために重要です。

したがって、根管治療を受けている間は、治療の間隔を短くし、継続的に通院することがよい結果を得るための鍵となります。

治療後の痛みや症状に備える

根管治療後でも、しばらくの間痛みや不快感が残ることがあります。
通常、痛みは数日〜1週間程度で落ち着きますが、患者さんによって異なる場合があります。
ただし、1週間以上痛みが続いたり、痛みが強くなって生活に支障が出たりしている場合は、早急に歯科医に相談や受診をするようにしましょう。

痛みへの対処法として、根管治療後の痛みに対処するための方法は以下のとおりです。

  1. 痛み止めの処方を受ける:痛みを完全に取り除くことは難しいため、歯科医から処方された痛み止めを適宜服用します。痛みを我慢せずに、早めに薬を服用し生活への影響を抑えることが大切です。
  2. 血行が促される行為の控え:治療後は血行を促進する行為を避けることが重要です。具体的には以下の行為を控えてください。
    ・激しい運動
    ・入浴やサウナ(シャワーは可)
    ・飲酒
    特に、痛みがある期間(治療後数日~数週間)は上記の行為を避けるようにしましょう。

痛みは徐々に落ち着きますが、歯科医師のアドバイスをしっかりと聞き、処方された薬を適切に使用しながら、治療後の痛みや症状に備えましょう。

まとめ

まとめ

ここまで根管治療の治療回数と治療期間についてお伝えしてきました。
根管治療の治療回数と治療期間の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 根管治療は、2〜4回程度の通院が必要だが、再治療や重症の場合は回数が増え、治療期間は数週間~1ヵ月程度かかる
  • 根管治療の回数や期間が長くなる理由には、根管の形状が複雑な場合や根管内の状態が悪い場合が挙げられる
  • 根管治療の回数・期間を短くしたい場合は、自由診療の治療を検討し、根管治療に詳しい歯科医師の診断を受け、充実した機材の歯科クリニックを選ぼう

根管治療は、2〜4回程度の通院が一般的ですが、症状の重さや再治療の必要性により回数が増えることもあります。
また、根管の形状の複雑さや根管内の状態が悪い場合、治療が長引くことがあります。
そのため、早期に歯科医を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 / 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) / 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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