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根尖性歯周炎の治療で抜歯が必要なケースとは?治療にかかる時間や放置するリスクについても解説!

根尖性歯周炎の治療で抜歯が必要なケースとは?治療にかかる時間や放置するリスクについても解説!

何となく歯の痛みや違和感をかかえながらも、歯医者さんに行くのは面倒なことはあるかもしれません。しかし、むし歯をそのまま放置しておくと、とても面倒な病気へと進行することもあるのです。 根尖性歯周炎という病気をご存じでしょうか? これは軽い歯痛だと思っていても放置してしまうと歯を失うこともある病気です。根尖性歯周炎とはどのようなものなのか、その症状から原因や治療まで詳しくお答えします。

根尖性歯周炎とは

根尖性歯周炎とは 根尖(こんせん)とはどのような場所かご存じでしょうか? あまりなじみのない言葉だと思いますが、歯の根の先のことをさします。 その根尖の周囲の歯周組織に炎症が起きる病気が根尖性歯周炎なのです。歯周炎といっても一般的にイメージする歯周病とは違います。歯髄(歯の内部にある神経)の炎症を放置すると歯髄が死んで歯髄壊死になってしまいます。さらに放っておくと歯の内部(髄腔)に生息している細菌により、歯髄は腐敗し、その状態は歯髄壊疽(えそ)と呼ばれます。やがて細菌により歯根の周囲の組織に感染が広がり拡大します。その結果、根尖に炎症を起こし膿がたまるのです。

根尖性歯周炎の症状について教えてください。
初期には、歯が浮いた感じがしたり、食べ物を噛(か)んだときに軽度の痛みがあったりします。進行すると、痛みは激しくなり、脈拍と同調するようなドクドクとした感じの痛みが生じ、特に体温が上がると痛みが強くなることもあるようです。また歯肉が腫れて赤くなり、ひどくなると顔までも広い範囲で腫れてきます。さらに、顎の下のリンパ節が腫れることから発熱するケースもあり、進行が進んで膿ができると瘻孔(ろうこう)という穴が歯肉にできてくるのです。膿が瘻孔から歯肉の外に出ると痛みが消えることはありますが、これは治ったわけではありません。これは歯髄が壊死してしまったために痛みを感じなくなった状態ですので、危険信号であると認識してください。なお、外歯瘻という状態になると瘻孔が顔の皮膚にもできるようになるので早めの受診が重要であることはいうまでもありません。
根尖性歯周炎の原因は何ですか?
そもそもの原因はむし歯の放置によることが少なくないそうです。むし歯になると歯は溶かされて穴が開いてしまいます。むし歯の穴は徐々に深くなって歯の神経である歯髄にまでいたってしまいます。本来は歯で覆われている歯髄ですが、むし歯により穴があき細菌が入り込めるようになってしまうのです。こうなると歯髄の内部では細菌が増殖し、その過程で毒素を作り出し感染源ができてしまいます。そして、細菌と作られた毒素により根尖に膿がたまり発症するというメカニズムです。 なお、むし歯が原因で根尖性歯周炎になることは少なくないですが、ケガなどにより歯が割れてしまった場合でも発症することがあります。

根尖性歯周炎の治療

根尖性歯周炎の治療 根尖性歯周炎の治療ですが、もし炎症が歯根の奥の根尖で起こっている場合は、複数回の治療が必要となるため、治療期間も長くなりやすいです。ここでは、根尖性歯周炎の治療方法や、期間、リスクなどの観点から詳しく説明していきます。

根尖性歯周炎の治療法について教えてください。
治療法は感染根管治療が行われます。根管とは歯髄がある歯の内部で、細菌が入り込んだ根管から感染歯髄を除去し、内部をきれいに消毒する治療が感染根管治療です。この治療では感染歯髄を完全に除去しなければなりません。ところが、根管の形はとても複雑なため、困難をきわめます。レントゲンに写る主根管と側枝(主根管から分岐して側方に走行する副根管)というレントゲンには写らない細かい枝が無数にあるからです。 感染根管治療が終わると根管充填(じゅうてん)の処置を行います。根管内部を埋めてしまい、細菌が入り込む余地をなくすことが目的です。しかし、現時点では側枝の部分に根管充填する有効な方法はありません。このように根管充填の難易度が高いことも根尖性歯周炎の治療の困難さに影響しています。
根尖性歯周炎の治療にはどれくらいの時間がかかりますか?
前述の治療法でも説明しましたが、感染根管治療は困難な治療で、一度の治療では完治は不可能です。平均的な通院回数は2回~4回といわれていますが、保険診療の場合は1回の治療時間に限りがあり、30分を限度とする場合が少なくないため通院回数は増加します。一方、感染根管治療の専門医が行う自由診療の場合は、60~90分程と長く治療できるため、通院回数は少なくなるようです。なお、感染症状の程度により、治療期間には差が出ます。根管内の細菌の除去に時間を要するケースもありますが、根管内が完全にきれいになるまで除去しなければ意味がありません。何度か治療を繰り返して長期に及ぶこともありますが、一般的には消毒薬を挿入するまでの期間として、1ヵ月程度は必要になるようです。 その後土台を立て、被せ物を装着した後根管充填を行い、根管治療は終了となります。ただし、保険診療と自由診療で治療期間は異なりますので、受診するクリニックで相談することをおすすめします。
根尖性歯周炎を治療せずに放置するリスクについて教えてください。
根尖性歯周炎を放置することにより、自分の歯を失ってしまうリスクが存在します。 根尖性歯周炎の進行度合いにより、天然歯を残すための根管治療を受けることもできますが、進行してしまった根尖性歯周炎の場合は、抜歯が必要になってしまいます。天然歯にまさる人工歯はないといわれる程なので、自分の歯でいられるよう早めに受診しましょう。 また、根管内で増加する細菌を放置すると、高頻度ではないですが、顎骨骨髄炎、上顎洞炎(じょうがくどうえん)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)など深刻な炎症疾患を誘発するケースもあります。細菌が血管のなかにも侵入し全身をめぐるまでに進行してしまうこともありますが、その場合は、血管壁にプラークを形成したり、血栓(血の塊)を作ったりもすることも考えらます。その場合は、血栓が脳梗塞や心筋梗塞を誘発するリスクも高まりますので注意しましょう。

根尖性歯周炎の治療で抜歯が選択されるケース

根管治療は自分の歯を残すための残された手段であるといわれています。しかし、この手段を逃してしまった状態では抜歯をするしか残された方法はありません。次に抜歯についての疑問にお答えします。

根尖性歯周炎の治療で抜歯は必要ですか?
抜歯をすると、歯の根の先にたまった膿の原因である感染歯髄も感染した根管もなくなった状態になります。結果的には抜歯をすれば根尖性歯周炎は治るということです。
根尖性歯周炎の治療で抜歯が選択されるのはどのようなケースですか?
根尖性歯周炎が進むと膿が広がり、周りの歯にも悪い影響を与えるといわれています。抜歯することにより、感染源をよりしっかりと除去しますので、周りの歯を温存するという観点からは有効な方法といえるようです。 根管治療の成功率は100%ではありません。特に歯の状態がよくない場合や2回目以降の根管治療ではさらに難易度があがります。このようなケースでは、負担の大きい根管治療を避け、よりしっかりとした感染源の除去が可能な抜歯が選択されることもあるでしょう。
根尖性歯周炎は完治しますか?
根尖性歯周炎の進行具合により、根管治療ができない場合は抜歯による治療の選択になるでしょう。これまで治療方法を説明してきましたが、早期に治療をはじめれば治療の選択肢は広がります。むし歯を放置していると歯髄炎をおこしますが、この状態では根管治療の必要はないケースもあり、薬剤で炎症をおさえれば治ります。次の段階に進むと根管治療となり、治療期間も長くなります。さらに次の段階に進んでしまい根管治療が不可能となれば抜歯の選択しかできなくなります。
根尖性歯周炎の治療で抜歯した後はどのような処置が取られますか?
抜歯した後の治療にはインプラント、ブリッジ、入れ歯の3つの選択肢があります。 インプラントは保険適用外の治療とはなりますが、失った歯の部分に人工歯根を埋めて、人工歯を入れるので自分の歯と同じように噛むことができる治療法となります。 ブリッジは保険適用の治療となり、抜歯した両隣の歯に固定式の被せ物で連結する治療です。 入れ歯も保険適用の治療となり、抜歯した部分に着脱できる人工歯を入れる方法をとります。 自分に合った方法を歯科医と相談してきめましょう。

編集部まとめ

根尖性歯周炎の原因はむし歯の放置が理由として少なくないといわれています。たかがむし歯と侮っていると徐々に進行して歯根の深部である根尖に細菌感染が広がってしまい、抜歯という選択にならざるを得ない事態にもなりかねません。。自覚症状には段階があるとはいえ、まぎらわしいこともあるかもしれません。しかし、治療は進行とともにどんどん困難になります。自分の歯を失うことなく一生守るには、自覚症状に敏感になることが重要ではないでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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