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根管治療後に腐敗臭が出る原因は?腐敗臭の原因や放置する危険性について紹介

根管治療後に腐敗臭が出る原因は?腐敗臭の原因や放置する危険性について紹介

歯の根の治療を根管治療とよびます。歯が折れて神経に支障がある場合や神経近くまで深くなったむし歯に対して行われる治療で、経験のある方も少なくないでしょう。

根管治療後にお口から嫌な臭いがすることがあります。根管治療後にお口から腐敗臭のような匂いがしたときは注意が必要です。不快な腐敗臭の原因は何が考えられるのでしょうか。

この記事では腐敗臭の原因、放置することによる危険性について解説します。根管治療後のお口の匂が気になる方の参考になれば幸いです。

根管治療後の腐敗臭の原因

歯の汚れ

根管治療後の腐敗臭の原因として何が考えられますか?
根管治療後の腐敗臭の原因は、根管内容物が腐敗することです。腐敗臭は強い臭いで患者さん自身が驚かれることもあり、根管治療では歯の根を治療します。
歯の根には神経があり、これを歯髄とよびます。歯髄には血流がありますが、なんらかの事情で血流がとまると本来の機能を失い、人体にとっては異物です。異物となった歯髄は根管内容物とよばれ、この根管内容物が細菌感染を起こすと膿がたまって腐敗臭の原因になります。
歯髄壊疽とはどのようなものですか?
歯髄壊疽とは、歯髄壊死が起きた状態からさらに細菌感染を伴った状態です。壊死では通常細菌感染はありません。根管内部の壊死した根管内容物が腐敗し、感染により膿がたまります。たまった膿は歯肉の腫れた箇所から漏れてつよい腐敗臭が発生します。
歯髄壊死と歯髄壊疽の違いは何ですか?
歯髄壊死と歯髄壊疽の明確な違いは細菌感染の有無です。壊死は通常、細菌感染は起こしていません。歯髄への血流が止まることにより壊死が起こります。血流が止まる原因は主に以下の3つです。
  • 過去に深いむし歯があった
  • 永久歯が生えてすぐのタイミングで歯髄に達するむし歯があった
  • 被せ物をする治療をした

むし歯が進行すると歯髄は自分で周りに歯を作って自分を守ろうとします。こうして歯髄は守られますが、周りに歯を作ることで歯髄自体は小さくなり、歯髄では血流が減りしばらくすると血流が途絶えます。これが壊死です。壊死が起きた状態でさらに細菌感染を起こしたものを壊疽とよびます。

根管治療後に歯髄壊疽が起きる原因は何ですか?
根管治療後の歯髄壊疽の原因は細菌感染です。神経を抜いた歯は歯髄壊死を起こすリスクがあります。神経がない歯髄は血流もなくなり、免疫力がありません。その状態で細菌に感染してしまうと、自然に治癒することはなく歯の根の先端に膿がたまります。

根管治療後の腐敗臭を放置する危険性

歯が痛い人

腐敗臭がしている状態を放置すると歯を失う可能性がありますか?
腐敗臭がある状態を放置すると、歯根先端に膿が溜まって歯がぐらつくことがあります。また、膿が溜まった箇所で炎症が起き、歯根先端から骨の中へ進んでいき周囲の骨を溶かします。痛みが出てきて抜歯になるケースもあり注意が必要です。
また、治療により削った歯は薄くなっていて破折の可能性が高くなっています。特に歯が縦に破折した場合は再生が難しく、抜歯になる可能性があります。
腐敗臭がしている場合は再治療する可能性はありますか?
根管治療後にお口から腐敗臭がした場合、放置してはいけません。自然に治ることはないので、匂いに気が付いたらできるだけ早く歯科医院を受診しましょう。腐敗臭があり、細菌感染が疑われるときは再度根管治療と同じ治療をすることになるでしょう。
腐敗臭を放置すると周囲の歯にも影響を及ぼしますか?
腐敗臭を放置すると、周囲の歯にも影響が生じ、腐敗臭の原因となっている箇所の周りの顎の骨を溶かす可能性があります。これ以外にも腐敗臭を放置すると以下のようなリスクを伴います。
  • 歯根に膿が溜まる
  • 副鼻腔炎になる
  • 歯が割れやすくなる

膿はたまり続け、増えると歯肉の腫れからも排出が続きます。副鼻腔とつながっている場所もあるため、場所によっては細菌が副鼻腔内に広がり、副鼻腔炎を発症することもあるでしょう。
歯はうすくなっているため力や衝撃に弱くなっています。特に縦に割れると修復が難しく、抜歯になる可能性があるため注意が必要です。

根管治療後に腐敗臭が出た場合の治療は必要ですか?
腐敗臭が出ている場合は、根管治療をしたところに感染が起きている可能性が高く、早期に治療が必要です。感染を起こすと歯茎に腫れができて、そこから膿が排出されるため、匂いが出ると考えられます。歯の根のなかで細菌が増え、根の先で炎症が起こるため、痛みの原因になります。
しかし、痛みが出るまで放置しておくと、感染が広がり炎症を起こしている根周りの顎の骨を溶かしかねません。細菌感染はいつまでも感染が続き自然に治ることはありません。根管治療後にお口から腐敗臭がしたら、すぐに歯科医院で治療を受けましょう。

再根管治療について

歯科治療

再根管治療とはどのようなものですか?
再根管治療は基本的に通常の根管治療と同じです。歯の中から歯根の先までしっかり消毒します。数回繰り返し、細菌を除去します。その後、根管内にお薬を詰めます。この工程を2~3回繰り返します。土台を立て、被せ物の型を取り、被せ物が完成後、装着して治療は完了です。
抵抗力が落ちている方は症状が強く出ることがあります。その場合は内服薬で炎症をある程度落ち着かせてから再根管治療を行うこともあります。
再根管治療の成功率について教えてください
再根管治療では、初回の根管治療より成功率が下がってしまいます。初回の処置で根管の治療を行っているため、器具や炎症によりもともとの根管の形状と変わってしまっていることが多く、より複雑になっているからです。設備や技術が整っていても成功率が下がってしまい難しいといわれています。
また重なる治療で歯質がうすくもろくなっていて、破折のリスクが上がります。患者さんのお口の状態によりますが、再根管治療では治療成績は65%程度にとどまり、根管が従来の形状から変化してしまっている場合については治療成績はさらに低くなるでしょう。

編集部まとめ

歯科模型

根管治療後の腐敗臭は、歯髄(歯の神経)が壊死し、細菌感染を起こすことで根管内容物が腐敗して起こります。この状態を歯髄壊疽と呼び、症状がある場合は、早期に歯科医院での治療が必要です。

歯髄壊疽は、血流のないところで細菌感染しているため自然には治らず、感染が続きさまざまな影響を及ぼします。周りの歯への影響や抜歯の可能性もあるため、根管治療後に腐敗臭がした場合は、放置せずすぐに歯科医院を受診しましょう。

歯髄壊疽の治療は、基本的には根管治療と同じです。しかし、初回に比べ再根管治療では成功率が下がる傾向があります。再根管治療は何度でも受けられるわけではありません。再治療を避けるためには、根管治療に対して精度の高い処置が受けられる歯科医院で治療することをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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