注目のトピック

根管治療

保険適用の根管治療は成功率が低い?根管治療が難しい理由や自費診療の治療との違いなどを解説

保険適用の根管治療は成功率が低い?根管治療が難しい理由や自費診療の治療との違いなどを解説

歯の痛みに関する治療を受けたことがある方なら、根管治療と呼ばれる治療法を耳にしたことがあると思います。根管治療とは、ごく簡単にいうならば歯の根っこの治療のことで、細菌感染した神経を取り除くことによってむし歯の痛みを解消し、歯を抜かずに温存させるという目的があります。
一方、根管治療は歯科診療のなかでもとても難しい歯科治療とされており、成功率が高い治療とはいえません。また、保険診療と自費診療によって治療の精度が変わるため、成功率もそれに応じて変わる可能性がある治療としても知られています。
そこでこの記事では、根管治療の成功率をはじめ、なぜ根管治療が難しいとされているのか、そして保険診療と自費診療による治療の違いに関して、根管治療についてよく知らない初心者にもわかりやすく解説します。

根管治療の成功率について

根管治療の成功率について

根管治療における成功と失敗はどのような状態ですか?
根管治療において成功した状態は、歯の根っこ部分の炎症を抑制し、なおかつ再発しないことで、細菌をしっかり除去できた状態です。対照的に、根管治療の失敗とは、細菌をしっかり除去できず治療後に再び細菌感染を起こし、痛みや腫れが再発する状態を指しています。根管治療においては、痛みの原因となる細菌を完全に取り除くことがポイントです。根管治療が必要なケースのほとんどは、痛みを伴う症状であることから、痛みが再発するかどうかで成功と失敗が判断できるといえるでしょう。根管治療は、複雑な形状をしている歯の根っこにおいて、視認できない細菌をいかに除去できるかが求められる難しい治療です。治療を受けたからといって、必ずしも再発しないとは限らないことを知っておきましょう。
根管治療の成功率はどの程度でしょうか?
東京科学大学がまとめた歯内治療の資料を参考にすると、根管治療の成功率は60%〜70%とあります。一方、日本国内における保険診療による根管治療は、抜髄で約50%、感染根管治療で約30%とするデータも紹介されており、根管治療の成功率を明確に示すことは難しいのが実情です。なかには、日本政府がまとめた保険診療請求回数の全国集計において、初回の根管治療の回数よりも、やり直しを意味する再根管治療の回数の方が多かったことを指摘し、成功率は30%〜50%とする意見もあります。根管治療の成功率は、さまざまな条件によって変動することを理解するとよいでしょう。
保険適用と自費診療の根管治療で成功率に差はありますか?
根管治療は、健康保険が適用される保険診療と、保険が適用されない自費診療で成功率に差が生じるといわれています。一般的に、自費診療の方が保険診療よりも成功率が高くなるとされていますが、成功率の差を明確に示すことは困難です。自費診療の方が成功率が高いとされる理由は、治療期間が短く済むため再感染リスクが抑えられるほか、診断や治療に使用できる機器が豊富なこと、そして治療中の細菌混入を防ぐラバーダムなどの器具を使用して治療を行うことが多い点などが挙げられます。
保険診療だとさまざまな制約がかかるのに対し、自費診療は制約に捉われずに治療できるため、成功率に差が生じるわけです。
根管治療の成功率を上げる方法を教えてください
根管治療の成功率を上げる方法として患者さん側ができることは、自費診療を選択すること、そして根管治療の経験が豊富な歯科医院を選ぶことです。根管治療の成功率を上げるには、根管の状態をなるべく正確に診断することや、治療用顕微鏡やマイクロスコープを使用する、根管内をしっかり洗浄および消毒する、そしてラバーダムを使った感染対策を行うことがとても重要です。
これらは保険診療で実現することは難しいものの、自費診療の範囲なら可能です。また、これらの設備や環境、そして医師の技術が整っている歯科医院を選ぶことが、成功率の向上に役立つでしょう。

保険適用と自費診療の根管治療の違い

保険適用と自費診療の根管治療の違い

自費診療の根管治療は保険適用と何が違うのですか?
根管治療において、自費診療と保険診療の違いは、診断や治療時に使用できる機材や器具、殺菌や消毒に使える薬剤、そして感染予防対策の方法です。また、根管に充填するための根管充填材の種類も違います。具体的には、保険診療では2次元レントゲンやルーペなどを使った治療になるのに対し、自費診療では3次元CTやマイクロスコープなどを使用可能です。ほかにも、保険診療では使えない次亜塩素酸ナトリウムやEDTAなどの薬剤が使用できる点も違いとして挙げられます。そして、保険診療ではほとんど用いられることがないラバーダムによって、治療中の感染対策も可能です。わかりやすくいうならば、自費診療の方が、細菌を除去するための工程すべてにおいて精度が高いということです。
保険適用と自費診療それぞれの根管治療の費用相場を教えてください
保険適用の根管治療は、3割負担の場合で1本あたり2,000円〜5,000円が相場といわれています。これに対し、自費診療による根管治療の相場は、1本あたり70,000円〜150,000円です。保険適用の治療費には、レントゲン検査、歯髄除去、消毒、根管内の充填、そして被せ物の治療が含まれます。一方、自費診療は、それぞれの歯科医院で使用する機器や薬剤が異なるため、相場に幅があることが特徴です。
根管治療の費用を抑える方法はありますか?
根管治療の費用を抑える方法として、保険診療を選択することのほか、症状が軽いうちに治療を受けることが挙げられます。自費診療を選択する場合は、複数の歯科医院で見積もりをとってから安い歯科医院を選ぶこと、そして医療費控除を利用する方法もあります。保険診療を利用する場合は、すでに保険が適用されているため、費用を抑えることは難しいでしょう。一方、自費診療は、相見積もりや医療費控除などを活用すれば、費用を抑えやすくなります。

重度のむし歯に対する対応について

重度のむし歯に対する対応について

根管治療ができない歯はありますか?
根管治療ができない歯は、むし歯が歯茎の奥深くまで進行しているケースのほか、重度の歯周病をお持ちの場合、そして歯根破折と呼ばれる歯の根が割れている状態などが該当します。また、根管治療が受けられないケースとして、ペースメーカーを使用している方や、妊娠後期、さらに体内に取り外せない金属がある方も該当するため、併せて知っておくとよいでしょう。
根管治療ができない場合の治療法を教えてください
通常の根管治療ができない場合は、歯茎を切開して根管にアプローチする歯根端切除術や、一度抜歯し、治療後に再び歯を戻す意図的再植術などの治療が選択肢になります。また、自費診療の範囲になるものの、精密根管治療で対処できる可能性もあるため、自費診療による治療を選択する方法もあります。仮に、かかりつけ医などで根管治療が受けられないと診断されたとしても、自費診療による根管治療を提供している歯科医院を受診し、セカンドオピニオンをもらうとよいかもしれません。

編集部まとめ

編集部まとめ

保険適用の根管治療は、国が定めた薬や材料しか使用することができず、自費診療と比べて使用できる器具や薬剤が限られるため、成功率が低いといわれています。 しかし、自費診療による根管治療は保険適用よりも精度が高い器具や薬剤、そして感染予防策が取れるため成功率が高いとされています。根管治療で失敗したくない方は、自費診療による根管治療を検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
中嶋 麻優子歯科医師(中島歯科クリニック 副院長)

中嶋 麻優子歯科医師(中島歯科クリニック 副院長)

東京歯科大学卒業 / アソアライナー認定医 / ポリリンホワイトニング認定医 / WHマスク監修

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340