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根管治療の詰め物の種類と選び方を知りたい!素材別の特徴や詰め物が取れる原因など解説

根管治療の詰め物の種類と選び方を知りたい!素材別の特徴や詰め物が取れる原因など解説

むし歯が神経にまで達してしまった場合に行う根管治療は、大切な自分の歯を抜かずにすむ治療法です。根管治療とは歯の神経を取った後に、根管内の洗浄や消毒を行い、痛みや炎症を抑え、歯の健康寿命を延ばすことができる治療のことです。根管治療では処置の過程で詰め物が使われます。本記事では根管治療で使われる詰め物の種類と選び方について、また素材別の特徴や詰め物が取れてしまう原因や対処法について解説します。

根管治療の詰め物について

根管治療の詰め物について 根管治療は、むし歯などで損傷した歯の部分を除去し、感染した歯髄を取り除いた後、根管内の洗浄や消毒を行います。その後、詰め物で歯の欠損部を塞いだり、根管の空洞を埋めたりする処置を行います。このとき使用する詰め物にはどんなものがあるのか、詰め物が取れる原因や取れてしまった際の対処法についてまとめました。

根管治療の詰め物とは何ですか?
根管治療の詰め物には「仮蓋」と「根管充填剤」の2種類があります。根管治療は歯を削り、根っこから治療をするため、歯に大きな穴が空きます。治療は一度きりではなく数回に渡って行われるため、次の治療までの期間に空いた穴を塞ぐ仮の詰め物が必要になります。これが「仮蓋」で、次の治療までの間、歯に細菌が入るのを防ぐ役割があります。 もう一つの「根管充填剤」は、神経を取った後の歯の根っこの中で細菌が増えないようにする薬剤です。歯の根っこの部分と、根管内の空洞を埋め、細菌の増殖を防ぎます。
根管治療の詰め物が取れる原因を教えてください。
根管治療の詰め物は通常の生活では取れたり欠けたりすることは少ないですが、いくつか気を付けるポイントがあります。たとえば、食事のときに噛む刺激によって詰め物が取れることがあります。治療の直後は、硬い食べ物や、ガムやキャラメルなどの粘着性の高いお菓子はなるべく避けた方が良いでしょう。仮蓋の詰め物が外れる主な原因となります。 また、歯磨きする際に詰め物が外れることがあるので、柔らかいブラシを使い、なるべく優しく磨くようにしてください。これらのポイントに気を付けて舌や指などで詰め物を触ったりしなければ、通常の生活で詰め物が外れたり欠けたりすることは少ないでしょう。
根管治療の詰め物が取れたときの対処法はありますか?
根管治療の詰め物が取れてしまった場合は、外れた詰め物を保管しておきましょう。新しい詰め物を一から作り直すとお金も時間も余計にかかってしまいます。大きく欠けてしまい使えない場合もありますが、外れた詰め物を利用して作り直す場合もあります。 ただし、詰め物が外れてしまったからといって、自分で接着剤などを使って付け直すことはやめておきましょう。詰め物が取れてしまった時点で患部は汚染されていますので、歯科医院を受診し付け直してもらうようにしてください。 詰め物が少し欠けた程度なら、慌てずに次の受診まで様子を見ても大丈夫です。大きく欠けてしまったり、詰め物が丸ごと外れてしまったりした場合は歯科医院に受診の相談をしてみましょう。

根管治療中の仮蓋としての詰め物について

根管治療中の仮蓋としての詰め物について 根管治療の期間中は歯に大きな穴が空いているため、細菌が入ってこないようにする仮蓋が重要な役割をしてくれます。ここでは仮蓋にどのような種類があるのか、それぞれのタイプについての特徴をまとめました。

根管治療中の仮蓋にはどのような種類がありますか?
根管治療中の仮蓋は歯の中に細菌が入ってくるのを一時的に防ぐためのもので、次の治療時に外せるものでなければいけません。種類としてはセメントタイプ、レジンタイプ、天然ゴムタイプの3種類があります。
セメントタイプの仮蓋について教えてください。
日本の歯科医院の多くで使われているものは水硬性(水との化学反応によって硬化するもの)セメントです。水分があると硬化する性質のため、そのまま歯にのせるだけで処置ができます。ただし水硬性セメントは2週間に1回は交換が必要なので、2週間以上受診ができない場合は別の材料の仮蓋を選んだ方が良いでしょう。
レジンタイプの仮蓋について教えてください。
歯科用のプラスチックでできた仮蓋です。粉と水を混ぜてペースト状にしたものを歯にのせ、30分程度かけて硬化させます。金属アレルギーの心配はないとされていますが、レジンアレルギーというアトピー性皮膚炎に似た症状が出ることが報告されています。日本ではレジンアレルギーは少ないようですが、もし心配であればパッチテストを行うこともできるので歯科医院で相談してみてください。
天然ゴムタイプの仮蓋について教えてください。
酸化亜鉛ユージノールセメントを主な原料とした仮蓋で、ストッピングとも呼ばれます。スティック状になったゴムをストッピングキャリアーという専門器具で押し込み、火で加熱します。器具の先端部から出てきた液状のゴムを歯にのせると処置は完了で、冷めると自然に硬化します。ただし、天然ゴムに対してのアレルギーがある方は使用できませんので注意が必要です。

根管治療後の根管充填材としての詰め物について

根管治療の処置で詰める根管充填剤には歯の根っこのスペースを埋めて封鎖し、細菌が入ってこないようにするための役割があります。根管充填剤にどのような種類があるのかについてまとめました。

根管治療後の根幹充填材にはどのような種類がありますか?
根管充填剤として使われているのは「ガッタパーチャ」と「MTAセメント」の2種類ですが、根管充填剤として使う歯科材料には一定の条件を満たす必要があります。まず、腐敗せず膨張収縮しないこと、歯を刺激することなく根管を完全に封鎖できること、レントゲンにうつること、生体親和性が高いこと、除去しやすいこと、そして持続的殺菌力があることです。 これらの条件を全てクリアするのは難しいですが、ほぼ条件を満たしているものとして1850年ごろから使われるようになったのがガッタパーチャです。さらに1998年にFDA(米国食品医薬品局)が認可し市販が開始されたMTAセメントも、VPT(歯髄温存療法)治療に用いる直接覆髄剤として2007年4月に日本でも認可を受けました。
ガッタパーチャについて教えてください。
マレー語で「ゴムの木」を意味するガッタパーチャは、1850年ごろから170年以上に渡って根管充填という処置に使用されています。 シーラーというセメントと組み合わせることによって封鎖性にも優れ、除去も容易で低コストな優れものですが、ガッタパーチャ自体には殺菌作用や消毒作用はありません。また硬くなりやすいという欠点があり、それを改善するために酸化亜鉛を配合したものが現在に至るまで根管充填剤として使用されています。
MTAセメントについて教えてください。
歯と同様のケイ酸カルシウムを主成分とした水硬性(水との化学反応によって硬化するもの)の根管充填剤で、1998年にFDA(米国食品医薬品局)が認可し市販が開始されました。 MTAセメントはアルカリ性で、優れた生体親和性と封鎖性を持っています。また接着性があるので、ガッタパーチャのように接着剤を用いる必要がありません。さらに親水性があり根管内に出血や浸出液が多少残っていても問題なく使用できます。 さまざまなタイプのMTA系セメントも開発されていますが、MTAセメントの使用は自費診療となるため気になる方は歯科医院で相談してみてください。

編集部まとめ

根管治療の詰め物について解説しました。根管治療は一度きりではなく、数回に渡るため、歯に空いた穴に仮蓋の詰め物をして、雑菌の侵入を予防することが重要です。仮蓋としての詰め物、根管充填剤としての詰め物にはいくつか種類があり、素材別に特徴も異なるため、歯科医師の診察のもと適切なものを選択する必要があります。詰め物が取れると追加で処置が必要となってしまうため、気を付けるべきポイントを押さえて、治療完了を目指しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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