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根管治療で感染が治らない原因は?治らない場合や根管治療の成功率を上げるポイント

根管治療で感染が治らない原因は?治らない場合や根管治療の成功率を上げるポイント

根管治療で感染が治らない場合の原因としては、根管内の複雑な構造や細菌の残留が挙げられます。成功率を高めるためには、正確な診断、先進的な治療技術の使用、そして消毒プロセスが重要です。
本記事では、根管治療で感染が治らない原因について解説します。

  • 根管治療で治らない場合
  • 根管治療の成功率を上げるポイント
  • 根管治療で感染が治らない場合の治療法

根管治療で感染が治らない原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

根管治療で治らない場合

根管治療で治らない場合

根管治療後も治らない原因を教えてください。
根管治療後も症状が改善されない場合には、以下のような原因が考えられます。
  • 根管の複雑性:根管が複雑で、細菌が完全に殺菌されていないことがあります。
  • 根管壁の穿孔:根管壁に穴が開いてしまっている場合(根管壁穿孔)があります。
  • 治療器具の折れ:治療中に器具が根管内で折れてしまうこと(破折ファイル)があり、これが治療不足の原因となることがあります。
  • 歯根の破折:歯根が割れている(歯根破折)場合、根管治療だけでは解決できないことがあります。
  • 根尖孔外感染または歯根嚢胞:根尖孔外感染や歯根嚢胞が存在する場合、根管治療だけでは症状が改善されないことがあります。
  • コロナルリーケージ:根管治療後の再感染(コロナルリーケージ)が発生することがあります。
  • 歯内・歯周病変:歯内や歯周の病変が原因で根管治療後も症状が改善されないことがあります。

これらの原因を正確に診断し、適切な対処を行うことが重要です。

むし歯が残っていると根管治療で治らないのですか?
むし歯が歯内に残っている場合、その部分から継続して細菌が感染源となり、根管治療を行っても完全には治癒しない可能性があります。
また、むし歯を完全に取り除く作業は、一見単純ながら高度な技術を要するため、歯科医師の熟練度が治療の成否に大きく影響します。したがって、根管治療を成功させるためには、まずはむし歯を適切に染め出し液を使用して除去する必要があります。

根管治療の成功率を上げるポイント

根管治療の成功率を上げるポイント

根管治療でラバーダムを使用すると成功率が上がりますか?
根管治療でラバーダムを使用することは、治療の成功率を大きく向上させます。ラバーダムは、治療中の歯を周囲の環境から隔離するためのゴム製のシートで、これにより唾液や口内細菌が治療部位に入るのを防ぎます。根管内が汚染されることなく、殺菌・消毒作業をします。また、治療中に使う小さな器具が誤って飲み込まれるリスクも減少します。
清潔で安全性の高い環境で行われる根管治療は、細菌感染のリスクを抑え、成功率を高めるためには不可欠です。このため、根管治療においてラバーダムの使用は重要な役割を果たしています。
根管治療を受ける歯科医院の選び方を教えてください。
根管治療を受ける際、適切な歯科医院を選ぶのが重要になります。以下は、根管治療において質の高いケアを提供する歯科医院を選ぶためのポイントです。
  • 根管治療経験のある歯科医師:歯内療法学会の歯内療法専門医が在籍している歯科医院を選ぶのがおすすめです。歯内療法学会の歯内療法専門医の資格を持つ歯科医師は、根管治療に関する高度な技術と経験を持っており、複雑なケースにも対応可能です。
  • 新しい設備と技術の利用:デジタルX線、CBCT(コーンビームCT)、マイクロスコープなど、新しい設備を備えている歯科医院は、より正確な診断と治療が可能です。これらの技術は、根管の形状を正確に把握し、治療計画を精密に立てるのに役立ちます。
  • 衛生管理と感染予防の徹底:清潔な診療環境と優れた感染予防対策を行っている歯科医院を選ぶことが重要です。これにより、治療中の感染リスクを抑え、安全性の高い治療を受けられます。

これらのポイントを考慮し、適切な歯科医院を選ぶことが根管治療の成功につながります。

根管治療で治らない可能性がある歯の状態

根管治療で治らない可能性がある歯の状態

歯の根の割れや歯のヒビがあると根管治療では治りませんか?
歯の根の割れやヒビがある場合、根管治療が適しているかどうかは、割れの程度や状態によって異なります。明らかに割れている場合は、通常、歯の抜歯が最善の選択肢です。
歯の根が割れていると、細菌が侵入しやすくなり、根管治療でも細菌の侵入を防げないため、治療の効果が限られます。しかし、わずかなクラックやヒビの場合は、治療の可能性が残ります。治療の前に慎重な検査が必要であり、根管治療が適切な選択肢かどうかを検討する必要があります。クラックがわずかであり、かつ患者さんが治療を受ける意思を持っている場合は、根管治療を開始できます。ただし、治療後も定期的な経過観察が必要です。また、歯の根が割れている場合でも、一部の場合には抜歯せずに歯を保存する方法があります。例えば、大臼歯など根が複数ある場合には、割れている根だけを抜歯し、残りの健全な根を活用して修復できます。最近では、CT画像を使用して歯根破折を診断することが容易になりましたが、診断には依然として難しさがあります。根管治療を行う前に、必ず歯科用顕微鏡で割れが確認されるべきです。また、根管治療を行っても腫れや痛みが治らない場合は、最終的には歯根尖切除手術が必要となることもあります。

歯の根が割れる原因には、硬いものを咬んだり、歯ぎしりやかみしめの癖があることが挙げられます。これらの状況下では、歯の根が既に弱くなっており、割れやヒビが生じやすくなります。そのため、早期の治療や予防が重要です。

歯の根の先が感染していると根管治療で治りませんか?
歯の根の先が感染すると、根管治療では治癒しないことがあります。根尖孔外感染(こんせんせいししゅうえん)や歯根嚢胞(しこんのうほう)は、根管内の感染が根の外側に広がる状態です。
根管内の消毒だけでは根の先の炎症や腫れが改善しないため、外科的な治療が必要になるため、歯の根の先端を切除し、嚢胞も除去する歯根尖切除術が行われます。したがって、根尖孔外感染や歯根嚢胞は、根管治療だけではなく外科的な処置が必要な場合があることを理解しておきましょう。

根管治療で感染が治らない場合の治療法

根管治療で感染が治らない場合の治療法

根管治療で治らない場合はどうすればよいですか?
根管治療で治癒しない場合、再根管治療や歯根端切除術、抜歯などの選択肢があります。主な治療法は以下の通りです。
  1. 再根管治療(非外科的歯内療法):根管治療後に症状が改善されない場合、再根管治療が考慮されます。これには、高度な技術を要する歯科用顕微鏡やCT画像を使用して、細菌が生存している可能性のある根管の隅々まで精密に清掃・殺菌します。根管内の細かな構造(イスムスや側枝など)にアクセスし、細菌を徹底的に除去することが目的です。
  2. 歯根端切除術(外科的歯内療法):再根管治療でも症状が改善されない場合、歯根の先端部分を外科的に切除する歯根端切除術が選択されることがあります。この手術では、根尖の感染部分を除去し、MTAセメントで根の先を封鎖します。同時に、根の先に形成された膿の袋も取り除くことで、感染の根源を物理的に取り除きます。
  3. 抜歯:根管治療や再根管治療、歯根端切除術でも改善が見られない場合、または歯根が破折している場合には、抜歯が最終的な選択肢となることがあります。抜歯後は、インプラントやブリッジ、部分義歯による補綴が検討されます。

これらの治療方法は、根管内の感染を根本的に解決し、歯を可能な限り保存するために重要です。適切な診断と治療計画のもと、専門の歯科医と相談しながら適切な治療法を選択することが推奨されます。

歯根端切除術について教えてください。
歯根端切除術は、根管治療後にも症状が改善されない場合に行う外科的処置です。この手術では、歯の根尖(根の先端部分)を切除し、根尖周辺の感染症を治癒に導くことを目的としています。
特に、根の外部に感染が広がっている場合には、感染源の除去が必須になります。このように、歯根端切除術は、根管治療が完了した後に一定期間の観察を経ても治癒が見られない場合に考慮される方法です。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで根管治療で感染が治らない原因についてお伝えしてきました。根管治療で感染 が治らない原因の要点をまとめると以下の通りです。

  • 根管治療後に症状が改善されない原因には、根管の複雑さ、穿孔、器具の折れ、歯根破折、外感染、再感染、歯内病変などがあり、正確な診断と対応が必要になる
  • 根管治療を受ける際には、根管治療経験のある歯科医師、先進設備、衛生管理と感染予防している歯科医院を選択することが重要
  • 根管治療後に改善が見られない場合、再根管治療、歯根端切除術、または抜歯が選択される

根管治療で感染が治らない場合は、再根管治療、歯根端切除術、または抜歯が考慮されます。根管治療後も改善しないときは、歯科医師と相談し、適切な治療法を選択することが重要です。
最後までお読み頂きありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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