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根管治療

神経を抜いた歯が痛むのはなぜ?再根管治療の必要性や痛みの原因を解説

神経を抜いた歯が痛むのはなぜ?再根管治療の必要性や痛みの原因を解説

根管治療とは、細菌に感染した神経を抜いて、根管の洗浄を行う治療のことです。根管治療を行うことで、細菌を除去して歯の痛みを緩和させることができます。しかし、一度根管治療をしたとしても、同じ部分に痛みや膿が出ることがあります。このように再度症状が現れた場合に行われるのが再根管治療です。なぜ神経を抜いた歯がまた痛くなるのでしょうか。再根管治療が必要になるケースや痛みの原因を解説します。歯が痛む場合の対処法や歯科医院選びのポイントもご紹介しますので、参考にしてみてください。

再根管治療とは

再根管治療とは 再根管治療とは、過去に根管治療をした歯に対して、再度根管治療を行うことです。神経を抜いたにも関わらず、もう一度治療が必要になるのはどうしてなのでしょうか。再根管治療が必要なケースや再根管治療が必要になる理由を解説します。

再根管治療が必要なケース

根管治療は、むし歯などによって歯の中の神経(歯髄)が炎症や感染を起こしてしまった際に、傷んだ神経を取り除き清掃し、薬剤を入れて蓋をする治療のことです。過去にこのような根管治療を行った歯に、再び痛みや腫れがある場合や膿が出る場合には、再根管治療が必要になることがあります。 通常であれば、根管治療後の痛みは3日~1週間程度で治まりますが、痛みや腫れなどの症状が、治療後1週間以上続く場合は、治療した箇所に問題が発生している可能性があります。一度根管治療を行ったということは、歯の神経をすでに取り除いているということ。神経がない部分に痛みを感じるのは、治療した歯が再度細菌感染を起こしていたり、それにより膿が溜まっていたりするケースが考えられます。再感染が起きている場合は、もう一度細菌除去を行う再根管治療が必要です。過去に根管治療を行った部分に痛みや違和感が続く場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。

根管治療がやり直しになる理由

根管治療がやり直しになるのは、治療した歯に再び細菌が増殖していることが理由です。根管治療では歯髄を取り除き、汚染された部分を洗浄します。しかし、細菌がすべて消滅していなかったり、不適合な被せ物の隙間から再度感染を引き起こしてしまったりすることで再度細菌に感染してしまい、再根管治療が必要になるのです。 具体的には、根管治療の際にしっかり細菌を取り除けていないこと、被せ物や土台がしっかりと装着されていないためにまた細菌が侵入したこと、噛み合わせが悪いために歯の根の部分に強い負荷がかかり、再感染が起こることが理由として挙げられます。 根管治療の成功率は、ケースにもよりますがおよそ30~50%と言われており、そもそも成功率が低い治療です。歯の神経は肉眼で見ることはできず、またとても複雑な形状をしているため、歯科医師は手探りや感覚をもって治療していきます。そのため、細心の注意を払っていても、細菌が残っていたり再感染したりすることは珍しくありません。一時的には症状が落ち着いても、再根管治療が必要になるケースも少なくないということです。

再根管治療の流れ

再根管治療の流れ 再根管治療では、神経はすでに抜いているため、過去の治療時に詰めた薬剤(防腐剤)を取り除き、再度洗浄を行って細菌を完全になくし、もう一度蓋をする治療が行われます。治療としては、1回目の根管治療と同じような流れになります。 まずは装着されている被せ物や土台を取り、過去の治療で詰めた薬剤を除去。そして取り除いた根幹部分の洗浄を行い、消毒を行います。その後は新たな薬剤を詰めて蓋をします。施術後はレントゲンで患部を確認。再度被せ物や土台を充填する流れです。再根管治療は1回では終わらないため、複数回治療を行う必要があります。

根管治療をした歯が痛むのはなぜか

根管治療をした歯が痛むのはなぜか 根管治療をした部分が再び痛いと感じるのはどうしてなのでしょうか。治療済みの歯が痛むのは、治療した部分に何らかの問題が起きているときです。根管治療をした歯が痛む主な原因をご紹介します。

神経の取り残しがある

根管治療では、細菌に汚染された歯の神経を抜く治療が行われます。しかし根管内はとても複雑な形状をしているため、神経を抜いたつもりでも完全には除去しきれていない場合があります。こうした神経の取り残しがあると、治療後に歯が痛む原因になるのです。神経の取り残しは、枝わかれした細い根管で発生するケースがあると言われています。

根管内に膿が溜まっている

根管の先に膿が溜まっている場合には、歯茎の腫れや痛みが起こることがあります。過去の根管治療において、細菌が根管内に残ってしまった場合や、歯根の先部分が細菌感染を起こした場合に、膿が溜まってしまう可能性もあるでしょう。また、膿が溜まる原因としては歯根が破折していることもあります。歯肉の腫れや痛み、膿が出た場合は、歯科医院を受診しましょう。

歯根膜で炎症が起きている

歯と骨の間でクッションのような役割をしているのが歯根膜です。根管治療後にむしば菌や細菌に感染することで炎症が起こると、噛むと痛みが生じたり歯肉の腫れが出たりすることがあります。

薬剤を詰めたことによる圧力がかかっている

根管治療では、神経を抜いて空洞になった根管部分を埋めるために薬剤を詰めます。薬剤を詰める際に圧力がかかって痛みが起こることがあります。通常であれば数日程度で痛みはなくなりますが、数週間以上痛みが続く場合は歯科医院を受診しましょう。 また、詰めた薬剤が歯根の先端から漏れ出て、周辺の神経を圧迫することもあります。この場合は漏れ出した薬剤を洗浄し、抗生物質などが処方されます。

噛み合わせが合っていない

根管治療では、根幹部分を洗浄し薬剤を詰めた後、被せ物をして歯の形を整えます。このときに装着する被せ物と周囲の歯の嚙み合わせが合っていないと、痛みを感じることがあります。ほかに炎症や問題がない場合は、被せ物を削るなど嚙み合わせを調整することで痛みをなくすことが可能です。

根管治療をした歯が痛む場合の対処法

根管治療をした歯が痛む場合の対処法 根管治療では歯の神経部分に触れるため、治療中に痛みを感じることもあります。治療後に痛みが残ることもありますが、3日~1週間程度でよくなることがほとんどです。1週間以上痛みが続く場合には再感染の可能性がありますので注意が必要です。根管治療をした歯が痛む場合にはどうすればよいのか、対処法をご紹介します。

痛み止めを服用する

根管治療後に痛みが起きることは珍しくありません。根管治療を受けた後に歯が痛む場合は、歯科医院から処方された痛み止めの薬を服用しましょう。通常であれば数日程度で痛みが治まることがほとんどですが、薬を飲んでも我慢できない程の強い痛みを感じる場合や1週間以上痛みが続く場合には、患部に問題がある可能性があります。痛み止めでは効かない場合や痛みが長引く場合は、我慢せずに歯科医院に相談しましょう。

患部を冷やす

腫れがある場合は、患部を冷やすと痛みが緩和することがあります。タオルを巻いた氷を頬のうえから当てて冷やすとよいでしょう。ただし、あまり冷やしすぎると血流が悪くなり、かえって痛みが増してしまう場合があります。適度に冷やすように心がけましょう。

痛みが続く場合は早めに歯科医院を受診する

1週間以上痛みが続く場合には、根管内での感染や破折を起こしているなど、治療した場所に何らかの問題が生じている可能性があります。痛み止めは一時的に痛みを軽減することができても、治すことはできません。長く痛みが続く場合は、我慢せずに早めに歯科医院を受診しましょう。

再根管治療を受ける歯科医院の選び方

再根管治療を受ける歯科医院の選び方 根管治療は、小さな穴から神経を取り除き、細く複雑な形状の根管内にいる細菌を洗浄する治療が行われます。治療においては歯科医師の技術によるところが大きく、歯科医師の経験や技術力不足によって失敗してしまうケースもあります。根管治療は成功率が高くない治療ですが、再根管治療の場合はさらに成功率は下がると言われています。高いスキルが求められる治療だからこそ、再根管治療を受ける際には歯科医院選びが大切です。歯科医院を選ぶ際のポイントをご紹介します。

マイクロスコープを導入している

歯科用マイクロスコープとは、患部を高倍率で見ることのできる歯科用顕微鏡のことです。根管治療においては、歯の神経である歯髄を除去しますが、根管内の形状はとても複雑で肉眼で見ることはできません。歯科医師の感覚や手探りで行うこともありますが、マイクロスコープを使用すれば、肉眼で見えない部分も見ることができ、細かいところまで見落としをなくすことができます。 見落としによって神経の取り残しがあると、細菌に感染して再度根管治療を行うことになります。マイクロスコープを使用して正確かつ丁寧な治療を行うことが、治療の成功率を上げるためのポイントです。歯科医師の技術力はもちろんですが、新しい機器を使うことも精密な治療をするうえでは大切です。歯科医院を選ぶ際には、先進的なマイクロスコープを導入している医院を選ぶなど、治療用機器が充実しているかもチェックするとよいでしょう。

ラバーダム防湿を行っている

根管治療の際に、根管内に細菌が入ったままの状態で治療を終えてしまうと、再度細菌感染を起こして再根管治療が必要になります。根管治療を成功させるためには、治療の際に細菌の侵入を防ぐことが大切です。 ラバーダム防湿とは、治療する歯以外の歯に薄いゴム製シートを覆いかぶせることで、口腔内の唾液や細菌が治療部位へと渡り感染することを防止する道具です。唾液には数々の細菌が含まれています。根管内をいくら洗浄したとしても、患部に細菌を含んだ唾液が触れてしまうと、また細菌感染を起こしてしまいます。また、根管治療では強い消毒薬を使用するため、粘膜に触れると火傷をする恐れもあるため、ラバーダムでは粘膜や舌を保護しながら治療を行う役割もあります。 ラバーダム防湿は、欧米では根管治療の際には必須の処置です。再感染を防ぐためにも、ラバーダム防湿を行っている歯科医院を選ぶことをおすすめします。

歯科用CTを完備している

歯科用CTとは、コンピューターによって3次元で立体的に撮影できる装置です。一般に使われる歯科用レントゲンでは平面でしか見ることができません。歯科用CTであれば、歯の内部を立体的に撮影できるため、根管の構造を正確に把握し、問題がある箇所の見落としを防ぐことが可能です。根管治療では、根管部分の構造を把握することが成功のためのポイントです。歯科用CTを使用することで、正確な治療ができます。歯科用レントゲンだけでなく、歯科用CTを完備しているかどうかも、歯科医院選びの際にはチェックするとよいでしょう。

外科手術に対応している

根管治療が終わっても治癒の傾向が見られない場合に、根尖と病変を摘出する歯根端切除術を行うことがあります。また、歯髄での炎症が歯根まで進行し骨組織が溶けてしまう場合、歯根の先にできた膿やその周りにできた肉芽腫を除去する場合、根管内に細菌が入ったまま石灰化してしまった場合など、通常の根管治療では問題が解決しない場合に外科手術が行われます。外科手術が必要なケースにおいては、何度再根管治療を行っても完治することはありません。歯科治療では患者の状態を正確に診断し、適切な外科手術をすることも必要です。 治療後の予後不良により外科手術が必要になる可能性もあるため、治療のことだけではなく、その後も臨機応変に適切な治療をしてくれる歯科医院を選ぶことも大切です。

まとめ

まとめ 根管治療をして神経を抜いたのに歯が痛む場合は、治療した歯が再度細菌に感染している可能性があります。一度の根管治療では治らなかった場合に、再根管治療が必要になります。根管治療は複雑な形状の根管を扱うため、成功率が低いのも特徴です。何度も根管治療を繰り返さないためにも、歯科医院選びは重要なポイント。高い技術力を持つ歯科医師に治療してもらうことはもちろん、歯科用マイクロスコープ、ラバーダム防湿、歯科用CTなどの機器が導入されているかどうかもチェックすることをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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