根管治療後の激痛で眠れない夜を過ごしている方は少なくありません。歯の神経を取り除く根管治療は、歯を保存するための重要な処置ですが、術後に強い痛みを感じることがあります。
本記事では、根管治療後に激痛で寝れない場合について以下の点を中心にご紹介します!
- 根管治療後に寝れないほどの激痛がある原因
- 根管治療後の痛みはいつまで続くのか
- 根管治療後に激痛で寝れない場合の対処法
根管治療後に激痛で寝れない場合について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
根管治療とは
根管治療とは、深いむし歯や外傷などによって歯の内部にある歯髄(しずい)が炎症や感染を起こした際に、その歯髄を除去し、歯の内部を清掃・消毒して密閉する治療法です。歯髄は神経や血管が通っており、歯に栄養や水分を供給しています。
しかし、むし歯が進行して歯髄まで達すると、強い痛みや腫れを引き起こし、放置すると歯の内部や周囲の骨が侵される可能性があります。根管治療は、これらの症状を改善し、歯を保存するために行われます。
治療の流れは、まずむし歯や感染した部分を除去し、歯髄を取り除きます。
次に、特殊な器具や薬剤を用いて根管内を清掃・消毒し、細菌の再感染を防ぐために根管内を密閉します。最後に、歯の強度を回復させるために、被せ物や詰め物を装着します。根管治療は、歯を抜かずに保存するための重要な治療法であり、適切に行われれば長期的に歯を維持できるでしょう。
根管治療後に寝れないほどの激痛がある原因
根管治療後の激痛にはどのような原因が考えられるのでしょうか。
根尖性歯周炎
根管治療後に強い痛みが生じ、眠れないほどの症状が現れる場合、根尖性歯周炎が疑われます。これは、歯の根の先端部(根尖)周囲の組織が炎症を起こす疾患です。
主な原因として、根管内に残存した感染物質や細菌が挙げられます。治療中に細菌が除去されなかったり、消毒が不十分であったりすると、これらの細菌が根尖周囲の組織に感染し、炎症を引き起こします。その結果、患部に強い痛みや腫れが生じることがあります。
また、根管治療時に使用する器具や薬剤による機械的・化学的刺激が、根尖周囲の組織にダメージを与え、炎症を誘発することもあります。このような場合、痛みや腫れが生じることがあります。
根尖性歯周炎の症状は、患部の激しい痛み、歯肉の腫れ、噛んだときの違和感や痛みなどが挙げられます。これらの症状が現れた場合、早急に歯科医師の診察を受けることが重要です。適切な治療を受けることで、症状の改善が期待できます。根管治療後の痛みや腫れを抑えるためには、治療中の無菌操作や丁寧な根管清掃が重要です。
また、治療後の経過観察を行い、異常があれば早めに対応することが大切です。
残髄炎
残髄炎は、根管治療時に歯髄(神経組織)が除去されず、一部が残存して炎症を起こす状態です。
残存した歯髄が細菌感染や物理的刺激を受けると、強い炎症反応が起こり、激しい痛みを引き起こします。治療後の持続的な痛みや、ものを噛んだときの違和感がある場合、残髄炎の可能性が高いとされています。
このような症状が現れた際には、早急に歯科医師の診察を受け、適切な再治療を行うことが重要です。
再治療では、残存している歯髄の除去と、根管内の徹底的な清掃・消毒が行われます。炎症の原因を取り除き、痛みの軽減が期待できます。
根管治療後の痛みを抑えるためには、初回治療時の精度が重要であり、治療中の無菌操作や丁寧な処置が求められます。また、治療後の経過観察を行い、異常があれば早めに対応することが再発防止につながります。
噛み合わせの問題
根管治療後に痛みが生じる原因に、噛み合わせの不調が考えられます。根管治療後、被せ物や詰め物を装着する際に噛み合わせの調整が不十分であると、特定の歯に過度な力がかかり、歯根膜や周囲の組織に負担がかかります。炎症や痛みが引き起こされることがあります。
治療後にものを噛んだときに生じる違和感や痛みから、噛み合わせの問題が疑われます。このような症状が現れた際には、早急に歯科医師に相談し、適切な噛み合わせの調整を受けることが重要です。適切な調整を行うことで、痛みや不快感の軽減が期待できます。
また、治療後は定期的なチェックを受け、噛み合わせの状態を確認することが、再発防止につながります。
歯根膜の炎症
歯根膜は、歯根と歯槽骨をつなぐ組織で、ものを噛んだときの圧力を感知し、歯を支える役割を担っています。根管治療中に使用される薬剤や器具の刺激、または治療後の噛み合わせの不調により、歯根膜に負担がかかると、炎症が発生することがあります。
この炎症により、ものを噛んだ際の痛みや持続的な鈍痛が生じ、場合によっては激しい痛みとなることもあります。治療後に噛むと痛みを感じる、歯が浮いたような感覚があるなどの症状が現れた場合、歯根膜の炎症が疑われます。
このような症状が続く場合は、早めに歯科医師に相談し、適切な処置を受けることが重要です。適切な治療を行うことで、炎症を抑え、痛みを軽減することが期待できます。また、治療後の噛み合わせの調整や、歯根膜への負担を減らすためのケアも大切です。
歯根破損
歯根破折とは、歯の根の部分がひび割れたり、折れたりする状態を指します。根管治療を受けた歯は神経を除去しているため、歯質が脆くなり、破折のリスクが高まります。歯根が破折すると、その部分から細菌が侵入し、炎症を引き起こします。
歯茎の腫れや強い痛み、さらには膿が出るなどの症状が現れることがあります。咀嚼時に違和感や痛みを感じる場合、歯根破折の可能性が疑われます。このような症状が続く場合は、早急に歯科医院での検査と適切な治療を受けることが重要です。
治療方法は破折の程度や位置によりますが、場合によっては抜歯が必要となることもあります。早期の対応が、症状の悪化を防ぐ鍵となります。
根管内に膿が溜まっている
根管内に膿が溜まっている状態とは、根管内やその先端部に細菌感染が残存し、炎症が進行することで膿が形成される状態です。
膿の蓄積により、歯茎の腫れや強い痛みが引き起こされ、夜間に症状が悪化し、睡眠を妨げることがあります。このような症状が現れた場合、早急に歯科医院を受診し、適切な処置を受けることが重要です。
治療は、根管内の再洗浄や消毒、場合によっては再度の根管治療が行われます。放置すると症状が悪化し、さらなる合併症を引き起こす可能性があるため、早めの対応が求められます。
薬剤による圧力
根管治療では、感染した神経や組織を除去し、根管内を洗浄・消毒した後、再感染を防ぐために薬剤を充填します。この際、根管内を密閉するために薬剤をしっかりと詰める必要がありますが、過度な圧力がかかると、周囲の組織や歯根膜に負担がかかり、痛みを引き起こします。
薬剤が根管の先端を超えて押し出されると、周囲の組織に刺激を与え、強い痛みを感じることがあります。
このような痛みは数日以内に軽減しますが、痛みが続く場合や悪化する場合は、歯科医師に相談することが重要です。適切な処置を受けることで、症状の改善が期待できます。
根管治療後の痛みはいつまで続く?
根管治療後の痛みは、2日〜1週間程度で軽減します。治療直後は、処置による組織の炎症反応で軽度から中程度の痛みや腫れを感じることがありますが、時間の経過とともに和らぐとされています。
しかし、1週間以上経過しても痛みが続いたり、むしろ悪化したりする場合は、感染や炎症が残っている可能性があります。夜間に眠れないほどの激しい痛みが生じることは稀ですが、そのような症状が現れた場合は、早急に歯科医院を受診することが重要です。
適切な処置を受けることで、症状の悪化を防ぎ、早期の回復が期待できます。
根管治療後に激痛で寝れない場合の対処法
根管治療後に激痛に襲われた場合、どのような対処法があるのでしょうか。
痛み止めを飲む
根管治療後に激しい痛みで眠れない場合、まずは処方された鎮痛剤を服用して痛みを和らげましょう。手元に処方薬がない場合は、市販の鎮痛剤を使用しても構いません。ただし、用法・用量を守ることが重要です。
痛い部分に触れないようにする
根管治療後に激しい痛みで眠れない場合、患部に触れないことも重要です。指や舌で触れると細菌が入り込み、炎症や痛みが悪化する可能性があります。
また、頬のうえから強く押すことも避けましょう。これらの行為は患部を刺激し、症状を悪化させる恐れがあります。
飲酒・入浴を避ける
根管治療後に激しい痛みで眠れない場合、飲酒や入浴は控えることが重要です。これらの行為は血管を拡張させることで炎症を悪化させ、痛みを増す可能性があります。飲酒は、血管を拡張し、治療部位の腫れや痛みを増強させます。
また、入浴や激しい運動も体温を上昇させ、血流を増加させるため、同様に症状を悪化させる恐れがあります。したがって、痛みが治まるまでは、これらの行為を避け、安静に過ごすことが大切です。
頬を冷やす
根管治療後に激しい痛みで眠れない場合、患部を冷やすことが効果的とされています。冷却は炎症を抑え、痛みを和らげる助けとなります。
具体的には、タオルで包んだ保冷剤や冷たいタオルを頬のうえから当てて冷やします。ただし、直接肌に当てると凍傷のリスクがあるため、タオルで包むようにしましょう。
また、冷やしすぎると血行が悪くなり、かえって痛みが増すこともあるため、適度な冷却を心がけてください。これらの対処法で痛みが和らがない場合や、痛みが長引く場合は、感染や炎症が残っている可能性があるため、早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
歯科医院に相談する
根管治療後に激しい痛みで眠れない場合、早急に歯科医院へ相談することが重要です。痛みは数日続きますが、1週間以上経過しても改善しない場合や、むしろ悪化する場合は、治療部位に感染や炎症が残っている可能性があります。
夜間に眠れないほどの激痛が続く場合は、根管治療が不完全であったり、新たな問題が生じている可能性が考えられます。放置すると症状が悪化し、最悪の場合、歯の抜歯が必要になることもあります。そのため、早めに歯科医院を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。
また、自己判断で市販の鎮痛剤を長期間使用することは避け、歯科医師の指示を仰ぐようにしましょう。
まとめ
ここまで根管治療後に激痛で寝れない場合についてお伝えしてきました。
根管治療後に激痛で寝れない場合の要点をまとめると以下のとおりです。
- 根管治療後に寝れないほどの激痛がある原因には、根尖性歯周炎、残髄炎、噛み合わせの問題、歯根膜の炎症、歯根破損、根管内に膿が溜まっている、薬剤による圧力などの問題が挙げられる
- 根管治療後の痛みは2日〜1週間程度で軽減することがほとんどであるため、1週間以上経過しても痛みが続いたり、悪化したりする場合は、感染や炎症が残っている可能性がある
- 根管治療後に激痛で寝れない場合、痛み止めを飲む、痛い部分に触れないようにする、飲酒・入浴を避ける、頬を冷やすなどの対処をし、速やかに歯科医院に相談する
根管治療後の激痛は、一時的なものであることが多いようですが、適切な対処が必要です。痛み止めの服用、冷却、塩水でのうがい、そして十分な休養を取ることで症状を和らげられる場合があります。しかし、痛みが長引いたり、腫れや発熱などの症状が現れたりした場合は、迷わず歯科医院に相談しましょう。
適切なケアと早期対応で、根管治療後の不快な痛みを抑え、健康な歯と快適な生活を取り戻せます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。