歯の根の治療である根管治療では、歯根内の清掃が完了した後、根管充填を行います。根管内に薬剤を詰め込む処置ですが、充填後にはズキズキ痛むことも珍しくありません。
歯の神経を抜いて、根管内のむし歯菌や汚染物質をきれいに取り除いたのに、なぜズキズキ痛むのか?このような疑問に対して、根管充填後のズキズキとした痛みの原因と対処法を解説します。根管治療で充填後にズキズキ痛む症状に悩まされ、どう対処してよいのかわからない方は参考にしてみてください。
根管治療の充填後にズキズキ痛む原因
根管治療の充填後にズキズキとした痛みが生じる原因を確認しておきましょう。
- 充填後にズキズキと痛むのはなぜですか?
- 根管充填後にズキズキと痛む主な理由としては以下があげられます。
- 歯の周囲の神経が過敏になっている
- 根管への処置で歯や周りの組織の大きな負担がかかっている
- 充填材による圧迫感、根管内に病変の取り残しがある
- 薬剤などが根尖部に漏れ出ている
- 歯根が折れたり穴が開いたりしている
これらの理由があげられます。根管充填後の痛みがどれにあたるかは、ズキズキとした痛みが生じたタイミングや程度、継続期間などによって変わるため、一概に判断することは難しいです。
- 充填直後のズキズキした痛みの主な原因を教えてください
- 根管充填を行った直後にズキズキとした痛みがある場合は、神経が過敏になっていることが原因にあります。
根管治療では、根管内を専用の器具でガリガリと削ったり、殺菌作用の強い薬剤で消毒したりします。その際の刺激は、根管だけにとどまらず、周辺組織にまで及ぶことから、充填直後にズキズキとした痛みが生じるのです。
根管充填では根管内をすき間なく埋めるような形でガッタパーチャポイントやシーラーなどを詰め込むため、それらの圧迫感からズキズキとした痛みがしばらく続くことがあります。
- 充填後しばらく経ってから痛みが出ることはありますか?
- あります。根管充填後の生理的な痛みは、早ければ2〜3日、遅くても1週間程度で消失します。しかし、何らかの異常が生じている場合は、それ以降にズキズキとした強い痛みが出てきます。
- 根管内の病変の取り残しによる再感染
- 根管壁に穴が開いている
- 根管が折れている
- 根尖部に病巣が生じている
これらの異常が考えられます。いずれにしても根管充填からしばらく経って痛みが出た場合は、放置せずにできるだけ早く歯科を受診しましょう。
- 充填後にズキズキした痛みが治まらない場合、受診すべきですか?
- 根管充填から1週間くらい経過してもズキズキとした痛みが治まらない場合は、まず主治医に連絡してください。根管充填からまだ2~3日しか経過しておらず、痛みの程度も許容範囲内なら、もう少し様子を見てもよいかもしれません。そのような場合でも、不安があれば、主治医に電話で相談することをおすすめします。
充填後のズキズキした痛みを軽減する対処法
根管充填後のズキズキとした痛みを和らげる方法やしてはいけない行為などを解説します。
- 充填後のズキズキした痛みを和らげるために自宅でできることはありますか?
- 痛みが生じている場合は、安静に過ごすことを心がけてください。患部を冷やしたり、市販の痛み止めを服用したりするのも効果的です。
痛みが強い場合は、患部を氷などで直接冷やしたくなるかもしれませんが、冷やし過ぎには注意しましょう。患部に氷を直接あてると、組織の血流が悪くなり、かえって痛みや病態が悪化するリスクを伴います。充填後のズキズキとした痛みを和らげる際には、間接的に冷やすのがポイントです。
- 痛みが強い場合、根管治療を受けた歯科医院で相談をするべきですか?
- 日常生活に支障をきたすような強い痛みが生じた場合は、治療を受けた歯科医院に相談しましょう。
根管充填直後は、仕事や勉強に集中できなかったり、眠りを妨げられたりするような痛みも生じやすいです。根管充填から2〜3日経過しても強い痛みが治まらない、あるいは痛みがさらに強くなっている場合は、何らかの異常が起こっている可能性が高いため、早期の受診が求められます。
- 根管治療後にズキズキ痛む場合は、痛み止めを飲むべきか教えてください
- 治療が問題なく済んでも、痛みや違和感を伴うのが一般的です。そのため、痛みに対して、すぐに薬を飲むべきかどうかは、状況によって判断がわかれます。
痛みに耐えられない、日常生活に支障をきたすと感じた場合は、痛み止めを飲むことをおすすめしますが、許容できる範囲にとどまるのであれば服用を控えてもよいでしょう。
- 根管治療の充填後にしてはいけないことは何ですか?
- 治療した歯に触れる行為はやめましょう。舌や指で触ると再び感染を引き起こす場合があります。根管充填をした歯で噛むことも、被せ物を装着するまでは控えた方がよいでしょう。
根管治療の充填後に行うべき適切なケア
根管充填後に気をつけること、行うべきケアについて解説します。
- 根管治療の充填後の過ごし方で気をつけることはありますか?
- 充填後は傷口を絆創膏で保護しているような状態です。被せ物を装着するまでは、負担をかけないように意識して過ごすことが大切です。
患部を無暗に刺激しない、幹部に痛みやうずきのような症状が出ていないか、根管治療をした歯の周りの歯茎に腫れや出血はないかなども細かく観察していきましょう。
治療した歯を傷つけないように、やわらかめの歯ブラシでやさしく丁寧に歯磨きすることを心がけてください。
- 充填後に避けるべき行動を教えてください
- 根管充填直後は、以下にあげる行動をできるだけ避けるようにしましょう。
- 激しい運動
- お酒を飲む
- タバコを吸う
- 熱い湯船に浸かる
- 刺激の強い食べ物や飲み物をお口にする
- 治療した歯の周囲を不必要に触る
あくまで充填直後に控えるべき行動で、治療から数日経過して状態が安定してきたら、普段どおりの生活習慣に戻しても問題はありません。 ただし、刺激の強い食べ物や飲み物をお口にする、治療した歯の周囲を触ったリ、治療した歯で噛むことは、被せ物を装着するまでは避けなければなりません。
- 根管治療の充填後は定期的に歯科医院でメンテナンスを受けるべきですか?
- 根管治療の充填が終わり被せ物を装着したら治療は完了です。
再発しないようセルフケアを徹底するようにしましょう。ただし、充填した歯は根管治療が必要になるまで重症化した経緯があることから、セルフケアだけでむし歯の再発を予防するのは容易ではありません。
そのため、歯科医院での定期的なメンテナンスは受けるようにしましょう。根管充填後も3〜4ヵ月に1回程度の頻度で歯科医院のメンテナンスを受けることで、むし歯の再発も防ぎやすくなります。
編集部まとめ
今回は、根管治療の充填後にズキズキと痛む原因や対処法について解説しました。根管治療の充填では、根管内を器具で圧迫したり、殺菌効果のある薬剤で化学的な刺激が加わったりすることから、処置の後にズキズキとした痛みが生じやすくなっています。
こうした生理的な痛みは、充填から2~3日経過すると消失していきますが、それ以降も強い痛みが続く場合は、何らかの異常が疑われるため、まずは主治医に電話で相談してみましょう。その後の対応は、主治医の指示に従うようにしてください。
参考文献