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根管治療

根管治療で治らない場合は抜歯するしかない?治らない原因と抜歯以外の治療法について解説!

根管治療で治らない場合は抜歯するしかない?治らない原因と抜歯以外の治療法について解説!

根管治療は、時間と手間がかかる処置で、時には痛みも伴います。それだけ苦労をしても根管治療で治らないケースもあることを正しく理解しておく必要があります。そうした根管治療で症状の改善が見られない原因は何なのでしょうか。また、抜歯する以外に治療する方法はないのでしょうか。ここではそんな難治性の症例の原因や抜歯以外の治療法について詳しく解説します。根管治療がなかなか終わらない人や、治療しても繰り返し再発するという人は参考にしてみてください。

根管治療とは

根管治療とは

根管治療とはどのようなものですか?
歯の根の中にある根管をさまざまな器具や薬剤を使って清掃する治療です。虫歯や外傷によって歯の神経が侵され、根管内に細菌感染が認められるケースに適応されます。根管はとても細くて暗く、複雑な構造を呈していることから、繊細な処置が求められます。そのため根管治療には長い期間を要します。
根管治療の手順について教えてください。
根管治療の一般的な手順について説明します。まず、歯の神経を抜くことから始めますが、これを抜髄と言います。その後、治療を行いやすくするために根管を拡大し、形成します。この段階では、残された神経や汚染物質の除去も行います。次に、根管内を清掃し、消毒薬を用いて消毒を行い、根管内の無菌化を目指します。無菌化が確認できたら、ガッタパーチャなどの材料で根管を充填し、土台を築きます。最後に、被せ物を装着して治療は完了です。ただし、難治性のケースでは根管の無菌化が困難であるため、根管充填の段階に進むことはできません。
根管治療の治療期間はどのぐらいですか?
初めての根管治療の場合は、2〜4週間程度、虫歯が再発した再根管治療の場合は、4〜8週間程度かかるのが一般的です。患者さんの歯の状態によっては、それ以上の期間を要することも珍しくはありません。

根管治療をしても治らない原因と対処法

根管治療をしても治らない原因にはどのようなものがありますか?
根管治療が成功しない原因としては、主に以下の5つが考えられます。

・根管内を殺菌しきれていない
根管治療は、根管内の細菌や汚染物質をきれいに取り除くことを目的としています。その目的が達成されない限り、根管からの膿の排出や痛み、腫れなどの症状は治まりません。とくに注意が必要なのが未処置の根管です。根管の数は個人差があり、部位によっては見落としてしまうこともあります。そうした未処置の根管が存在している限りは、いつまで経っても膿の排出や痛みなどが続きます。

・歯の根が割れている
根管治療を適切な方法で行ったとしても、歯の根が割れている場合は、根管内の無菌化を達成できません。いわゆる歯根破折の状態は穴があいたバケツのようなものなので、薬剤による消毒や殺菌の効果も限定的なものとなります。それどころか歯の根が割れている部分から薬剤などが漏れ出て、周囲の組織の新たな異常を引き起こしかねないため、十分な注意が必要となります。

・破折ファイルが残っている
過去に根管治療を行ったケースでは、破折したファイルの先端が残っていることがあります。破折ファイルの断片はとても細くて小さいことから、撤去するのは容易ではありません。そのため破折ファイルを残したまま根管充填を行い、被せ物まで装着するケースもあります。

・歯根嚢胞が生じている
歯根嚢胞(しこんのうほう)とは、歯の根の先に生じる袋状の病変で、内部には繁殖した細菌や膿などで満たされています。根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)が進行することで生じるケースが多く、根管治療で治らない原因としても有名です。

・根尖孔外感染が起きている
根管の尖端には、根尖孔(こんせんこう)という小さな穴があいています。そこを通じて歯の神経や血管が入り込んでいるのですが、細菌や汚れが漏れ出る原因にもなります。根管内の汚染物質が根尖孔の外に漏れ出ると、そこで感染巣を作って炎症反応をもたらします。そうして生じるのが上段でも触れた根尖性歯周炎です。根尖性歯周炎の症状が強いと、根管内を清掃しても膿の排出や痛みなどが治まりません。

根管内を殺菌しきれていない場合の対処法について教えてください。
根管内への処置が不十分であることから、精密根管治療が必要となります。歯科用CTで根管の状態を正確に把握した上で、マイクロスコープによる拡大視野下での精密処置を実施するのです。精密根管治療であれば、肉眼では見落としていた根管を発見しやすくなるだけでなく、病変を取り残すリスクも大幅に低下できます。
歯の根が割れている場合の対処法について教えてください。
破折している部分をMTAセメントで塞ぐ方法があります。歯の根の折れ方によっては修復が難しいことから、その根っこだけを切除して、その他の部位を保存する方法もありますが、いずれも高度な技術を必要とします。そのため歯根破折の症例では、保存治療に固執せず、抜歯をした方が良い場合も珍しくありません。
破折ファイルが残っている場合の対処法について教えてください。
根管内に残存しているファイルを専用の器具を使って取り除きます。具体的には、マイクロスコープによる拡大視野下で、破折ファイルリムーバーなどを用いて引っ張り上げます。精密根管治療に関する知識や経験が豊富な歯科医師でなければ、対処するのが難しい方法といえます。
歯根嚢胞が生じている場合の対処法について教えてください。
歯根嚢胞を外科的に摘出します。嚢胞は、その他の組織との境界が明瞭であるため、摘出すること自体はそれほど難しくはありませんが、患者さんの心身には大きな負担がかかります。口腔外科の治療に長けた歯科医師でなければ、適切に処置できない点にも注意が必要です。
根尖孔外感染が起きている場合の対処法について教えてください。
根尖孔外感染は、根管内の病変を取り切ることで改善が見込めます。なぜなら感染源は根管内にあるからです。それでも改善が見られない場合は、後段で解説する歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)が適応されます。

根管治療をしても治らない場合の抜歯以外の治療法

根管治療をしても治らない場合の抜歯以外の治療法

根管治療をしても治らない場合の抜歯以外の治療法にはどのようなものがありますか?
難治性の症例でも歯根端切除術や再植術を行うことで、歯を抜かずに保存できる場合があります。どちらも高度な外科的歯内療法(げかてきしないりょうほう)となるため、歯科医師選びは慎重に行うようにしましょう。
歯根端切除術とはどのような治療法ですか?
歯根端切除術とは、文字通り歯の根っこの端を外科的に切除する方法です。根尖孔外感染が起こっていて、通常の根管治療では改善が見込めない症例に適応されます。具体的には、歯茎をメスで切開して、歯根を露出させた状態で歯根端を病巣もろとも切除します。患者さんの心身への負担が大きい手術となりますが、難治性の症例を根本から改善する方法として広く行われています。 歯根端切除術を行った場合は、通常の根管治療とは異なり、逆方向から根管充填を行うケースが多いです。その名も「逆根管充填」と呼ばれる方法で、外科手術と同時に行います。逆根管充填が完了したら、傷口を縫合して手術は終了です。
再植術とはどのような治療法ですか?
歯を一度、外科的に抜き取って、根管治療を行う方法です。患者さんの口腔内という制限が大きい環境下ではなく、手元で根管処置を施せるため、病巣を取り残すリスクが減ります。根管内を無菌化して根管充填まで完了したら、歯をもとの位置へと戻すことから、再植術という名前が付けられています。再植術には、元の場所に定着しないというリスクを背負うことになるので、適応されるのは一部の症例に限られます。

編集部まとめ

このように、根管治療で治らない原因としては、根管内に病巣が残っている、歯根が折れている、破折ファイルが残っている、歯根嚢胞が生じている、根尖孔外感染が起きているといった5つが考えられます。どれも臨床の現場でよく目にする事例であり、保険診療の根管治療では起こりやすいトラブルともいえるでしょう。 そうした難しい症例では抜歯が適応されることが多いのですが、本文で取り上げたような方法を採用することで、抜かずに残せる可能性も追求できるため、最後まで諦めずに適切な知識や技術を持った歯科医師を探すと良いでしょう。天然歯に勝る人工歯は存在しないため、手間や時間、お金をかけてでも残すだけの価値があります。

参考文献

この記事の監修歯科医師
坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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坪光 玄義医師(地挽歯科医院)

鶴見大学歯学部 卒業 / 平成24年歯科医師免許証 取得 / 現在は地挽歯科医院、蕨にしき町歯科・口腔外科(いずれも非常勤)

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