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根管治療後に頭痛が起きる原因とは?根管治療の失敗を予防する方法についても解説!

根管治療後に頭痛が起きる原因とは?根管治療の失敗を予防する方法についても解説!

根管治療後は、歯や歯茎の痛みに悩まされることが少なくありません。歯の根の中に、殺菌作用の強い薬剤を使うだけでなく、根管壁を物理的に削るなどの処置が必須となるため、歯の周囲組織の神経も過敏になっているのです。それに加えて根管治療後は頭痛が起きる場合もあります。ここではそんな根管治療で頭痛が起こる原因や根管治療の失敗を予防する方法について詳しく解説します。

根管治療とは

根管治療とは はじめに、根管治療の基本を確認しておきましょう。

根管治療の基本事項

根管治療は、歯の内部にある感染や炎症を取り除くための治療法です。むし歯が進行し、歯髄(神経や血管)が感染すると、強い痛みや腫れを引き起こします。根管治療は、感染した歯髄を除去し、根管内を清掃・消毒した後、充填材を詰めて密封することで、歯を保存します。これにより、痛みを取り除き、歯の機能を維持することができます。

根管治療の流れ

根管治療は、一般的に以下のステップで行われます。まず、麻酔を行い、痛みを感じないようにします。次に、むし歯部分を削り、歯髄へのアクセスを確保します。その後、特殊な器具を用いて感染した歯髄を除去し、根管内を清掃・消毒します。清掃が完了したら、根管内に充填材を詰めて密封し、再感染を防ぎます。最後に、歯の形を整え、クラウンを被せるなどの補綴処置を行って治療を完了します。

根管治療後の頭痛の原因

根管治療後の頭痛の原因 続いては、根管治療後に頭痛が生じる原因です。一般的には、以下の3点が挙げられます。

麻酔の影響

根管治療では、痛みを感じさせないために局所麻酔が使用されます。局所麻酔薬は、歯やその周囲の感覚を一時的に遮断する役割を果たしますが、その過程で麻酔薬の作用で血管が収縮することにより、一時的な頭痛が発生することがありますが、これは稀なケースです。麻酔の影響で頭痛が発生する場合は、通常は軽度であり、一時的なものです。

麻酔が効いている間、血管が収縮し、頭部への血流が一時的に減少することがあります。これが原因で、軽度の頭痛や違和感が生じることがあります。また、麻酔が切れた後に血管が再び拡張することで、血流が急に増加し、頭痛が発生することもあります。

麻酔による頭痛は一般的には軽度で、一時的なものです。もしも強い頭痛や長引く頭痛がある場合は、麻酔以外の原因も考えられるため、歯科医に相談することが重要です。

根管治療による刺激

根管治療そのものが頭痛を引き起こす原因となることもあります。根管治療では、歯の内部にある神経や血管を取り除き、感染を防ぐために歯の根を清掃し、充填します。この過程で、歯やその周囲の組織が物理的に刺激されることがあります。

特に、治療中に使用される器具が歯の内部の組織や神経を刺激することが原因で、治療後、非常に稀に頭痛を感じることがあります。このような頭痛は、一般的には治療後数日で軽減しますが、炎症が続く場合は歯科医の診察が必要です。

根管治療の失敗

根管治療が適切に行われなかった場合も、頭痛の原因となることがあります。例えば、治療中に感染が完全に除去されず、残った細菌が炎症を引き起こすことがあります。この場合、歯の内部や周囲の組織に感染が広がり、痛みや腫れ、頭痛を引き起こします。

また、根管充填が不十分であったり、根管内に亀裂が生じたりすることで、再感染が起こることもあります。このような場合、頭痛だけでなく、治療した歯自体にも痛みや違和感が生じることが少なくないのです。

根管治療の失敗による頭痛は、自己判断で放置せず、速やかに歯科医に相談することが重要です。再治療や追加の処置が必要になる場合があります。

根管治療が失敗する要因

根管治療が失敗する要因 根管治療が失敗する要因としては、以下の3点が挙げられます。

治療中に細菌が侵入してしまった

根管治療の成功には、治療中に細菌が侵入しないようにすることが不可欠です。具体的には、ラバーダム防湿が有効なのですが、保険診療ではそれが使用できないため、患者さん自身の唾液の侵入によって再感染が起こってしまうことも珍しくありません。

感染部位を取り残している

根管治療では、感染した神経や血管を完全に取り除くことが求められます。しかし、歯の内部はとても複雑であり、すべての感染部位を見逃さずに除去することは難しい場合があります。

◎複雑な形態の根管
歯の内部にはとても細かい根管が複雑に走っています。特に奥歯などの複雑な形状を持つ歯では、すべての根管を見つけ出し清掃することが難しく、感染部位を見逃してしまうリスクが高まります。

◎肉眼による治療の限界
肉眼での治療では、細かい根管や隠れた感染部位を見逃してしまうことがあります。感染部位を完全に取り除くためには、マイクロスコープのような高度な視覚補助が必要ですが、それが不足している場合、感染が残る可能性があります。

根管充填が不十分である

治療後に根管内部を適切に充填することもとても重要です。不十分な根管充填は、再感染のリスクを高めます。

◎根管充填材の選択と使用
根管充填に使用される材料とその使用方法が適切であることが求められます。不適切な材料や方法で充填されると、根管内に隙間ができ、細菌が侵入して再感染が発生するリスクが高まります。

◎治療技術の熟練度
根管充填は技術的に高度な作業です。経験や技術が不足している場合、充填が不十分になることがあります。特に根管がとても細い場合や、形状が複雑な場合には、技術の差が顕著に現れます。

◎充填後の確認不足
充填後に適切に行われたかどうかを確認することも重要です。確認が不十分であった場合、充填の不備に気付かずに治療を終えてしまい、後に再感染が発生することがあります。

根管治療の失敗を予防する方法

根管治療の失敗を予防する方法

マイクロスコープを用いた処置

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)は、歯科治療においてとても高い精度を提供する視覚補助装置です。従来の肉眼では見逃してしまうような微細な部分も拡大して観察できるため、根管治療においてとても有用といえます。マイクロスコープを使用することで、根管内の構造を詳細に確認し、感染部位を正確に除去することが可能になります。

◎見えにくい根管の発見
根管はとても細かく複雑な形状をしているため、肉眼では見逃してしまうことがあります。特に、副根管や分岐した根管などの見つけにくい部分を発見し、治療を行うためにはマイクロスコープが欠かせません。これにより、治療漏れのリスクを大幅に減らすことができます。

◎精密な処置が可能
マイクロスコープを使用することで、細部にわたる精密な処置が可能になります。これにより、根管内部の清掃や充填がより正確に行われ、再感染のリスクを減らすことができます。特に、根管治療後の再発を防ぐためには、この精度の高い処置が重要です。

ラバーダム防湿の使用

ラバーダム(ゴムのシート)は、治療部位を口腔内の唾液や細菌から隔離するための装置です。これにより、治療中に細菌が侵入するリスクを大幅に減らすことができます。

◎治療の効率化
ラバーダムを使用することで、治療部位が明確に区別され、治療が効率的に行われるようになります。唾液が治療部位に流れ込むのを防ぐことで、治療中のトラブルを減らし、スムーズな処置が可能となります。

MTAセメントによる根管充填

MTA(Mineral Trioxide Aggregate)セメントは、根管充填材としてとても優れた封鎖能力を持っています。従来の充填材に比べて、MTAセメントは根管内の隙間をしっかりと埋め、細菌の侵入を防ぐ効果があります。これにより、再感染のリスクが大幅に減少します。

◎高い生体適合性
MTAセメントは生体適合性が高く、歯や周囲の組織に対して刺激が少ないため、治療後の炎症や不快感を軽減する効果があります。また、MTAセメントは硬化後に高い耐久性を持つため、長期間にわたりその効果を発揮し続けてくれることでしょう。

◎優れた殺菌効果
MTAセメントには優れた殺菌効果があります。これにより、治療後に根管内で細菌が繁殖するのを防ぎ、再感染のリスクを低減します。特に、難治性の感染症に対しても効果的であるため、再治療の回数を減らすことができます。

根管治療後の頭痛の応急処置

根管治療後の頭痛の応急処置 根管治療後の頭痛は、次の3つの方法で改善できることがあります。

患部を冷やす

冷却は、炎症や腫れを抑えるための一般的な方法です。根管治療後に生じる頭痛の一因として、治療部位周辺の組織が炎症を起こしていることが考えられます。冷却することで、血管が収縮し、炎症や腫れが軽減され、結果として頭痛が和らぐことがあります。

◎冷却方法
濡らしたタオルなどを顎に当てて、患部を間接的に冷やします。冷却は、10分から15分程度行うのが効果的です。一度に長時間冷やし過ぎると逆効果になることがあるため、適度な間隔をあけて冷却を行うことが重要です。

◎冷却の注意点
冷却はあくまで一時的な応急処置であり、根本的な治療にはなりません。頭痛が続く場合や、冷却によって症状が悪化する場合は、歯科医師の診察を受けることが必要です。

鎮痛剤を使う

鎮痛剤は、即効性のある痛み止めとして利用されます。市販の鎮痛剤は、根管治療後の頭痛を効果的に和らげることができます。アセトアミノフェンやイブプロフェンなどの一般的な鎮痛剤で十分な効果が得られます。

◎適切な服用方法
鎮痛剤を使用する際は、必ず製品の説明書を読み、適切な服用方法と用量を守ることが重要です。空腹時に鎮痛剤を服用すると胃に負担がかかることがあるため、食後に服用するのが望ましいです。また、過剰な摂取は副作用を引き起こす可能性があるため、決められた用量を守ることが重要です。

◎鎮痛剤の選び方
鎮痛剤の選び方についても注意が必要です。個々の体質や既往症、現在服用しているほかの薬との相互作用などを考慮して選ぶことが必要です。特に、アレルギーのある人や特定の薬に対する耐性がある人は、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

血行を良くする行動を控える

根管治療後の頭痛が炎症によるものである場合、血行が良くなると症状が悪化することがあります。血行が促進されると、炎症部位に多くの血液が流れ込み、腫れや痛みが増す可能性があります。

◎避けるべき行動
激しい運動や長時間の入浴、サウナなど、血行を促進する行動は控えることが望ましいです。また、アルコールの摂取も血行を促進するため、治療後の頭痛が治まるまでは控えるようにしましょう。特に、治療直後は安静に過ごし、身体を冷やすことを心がけるとよいでしょう。

◎日常生活での工夫
日常生活でも、頭痛が治まるまでは無理をせず、リラックスした状態で過ごすことが大切です。また、頭を高くして寝ることで、頭部への血流を減少させ、頭痛を軽減することができます。

むし歯菌による頭痛を伴う疾患

むし歯菌による頭痛を伴う疾患

歯髄炎

歯髄炎は、歯の内部にある歯髄が炎症を起こす疾患です。むし歯が進行し、歯髄まで細菌が侵入することで発症します。症状には激しい歯の痛みや頭痛が含まれます。炎症が神経にまで達すると、歯から頭にかけて痛みが広がることが少なくないのです。放置すると、歯髄が壊死し、根管治療が必要になることがあります。早期の治療が重要です。

歯性上顎洞炎

歯性上顎洞炎は、上顎の奥歯のむし歯や歯周病が原因で上顎洞に炎症が広がる疾患です。上顎洞は鼻のすぐ上に位置しており、感染が広がると鼻詰まりや顔面痛、頭痛が発生します。上顎洞の炎症による頭痛は、前頭部や顔全体に痛みを感じることがあります。治療には、原因となる歯の治療と抗生物質の投与が必要です。

脳炎

むし歯菌が血流を通じて脳に達すると、とてもまれですが脳炎を引き起こすことがあります。脳炎は脳の炎症で、激しい頭痛、発熱、意識障害などの症状を伴います。このような重篤な感染症は、緊急の医療対応が必要です。むし歯菌が脳に到達するのは極めて稀なケースですが、むし歯を放置せず、適切な口腔衛生を保つことが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ 今回は、根管治療後に頭痛が起きる原因や根管治療の失敗を予防する方法について解説しました。根管治療後に頭痛が起きる主な原因は、麻酔の影響、根管治療による刺激、根管治療の失敗の3つです。特に注意しなければならないのは根管治療の失敗で、そのまま放置していても自然に改善することはなく、基本的には再治療が必要となります。そんな根管治療の失敗を予防するためには、ラバーダムやマイクロスコープ、MTAセメントなどを活用できる方法が有効です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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