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根管治療後に検診を受けるべき理由|検診の内容タイミング

根管治療後に検診を受けるべき理由|検診の内容タイミング

根管治療が終わった後、「本当に治ったのだろうか?また痛んだりしないかな?」「せっかく治療した歯を長持ちさせるにはどうすればいいの?」と不安に感じている方も多いでしょう。本記事では、根管治療後になぜ定期検診が必要なのか、その検診では何をするのか、そして治療した歯を長持ちさせるセルフケアの方法についてQ&A形式で解説します。

根管治療後に起こりうること

根管治療後に起こりうること

根幹治療が終わっても、また歯が痛くなることはありますか?
はい、残念ながら可能性はあります。適切に治療が行われても治癒しないケースや、いったん症状が治まっても数年後に再び痛み出すケースもあります。神経を取った歯は本来痛みを感じないはずですが、再び細菌感染が起きると噛んだときに鈍い痛みを感じたり歯茎が腫れたりすることがあります。特に、根の中に細菌が残っていたり、後から隙間から細菌が入って再感染すると、根の先に膿が溜まって痛みが出ることがあります。
根管治療が終わった歯がもう一度むし歯になる確率を教えてください。
根管治療をした歯が再びむし歯になるリスクもあります。正確な確率は一概にいえませんが、いくつかの要因によって再発率が左右されます。根管治療後の歯は神経がないため痛みなどの自覚症状が出にくく、知らないうちにむし歯が進行してしまうことがあります。また、治療後は歯と被せ物(クラウンや詰め物)の境目にわずかな隙間が生じ、この部分に汚れや細菌が溜まりやすくなるため、二次的なむし歯のリスクが高まるのです。とはいえ、適切な根管治療と良好な口腔衛生管理がなされた場合、長期間再発せずに済む歯も多くあります。
根管治療の後に歯が割れたり膿がたまったりすることはありますか?
はい、そういう場合もあります。まず歯が割れる(破折する)リスクについてですが、神経を取った歯は栄養が行き渡らなくなるため徐々に脆くなり、割れやすくなる傾向があります。特に大きく削って神経を取った歯は強度が落ちているため、硬いものを噛んだ拍子にヒビが入り、最悪の場合歯根まで深く割れてしまうことがあります。そのため、多くの場合は根管治療後の歯に土台と被せ物を装着し、歯全体を補強します。一方、膿がたまるケースは、先ほど述べた再感染が原因です。根の中や隙間から細菌が侵入し、歯の根の先に炎症が起こると、歯茎に膿の袋(膿瘍)が形成されることがあります。症状としては歯茎の腫れや押すと膿が出る、歯がグラグラする、といった形で現れることもあります。

根管治療後にも検診が必要な理由

根管治療後にも検診が必要な理由

治療が終わった後も定期的に歯科医院を受診する必要がありますか?
はい、根管治療後は定期検診を受けることが推奨されます。治療が完了した直後は症状がなく順調でも、しばらくして根の先に再び炎症が出てくるケースもあるからです。定期的に通院していれば、そうした再発の兆候を早期に発見し、適切なタイミングで追加の処置を行うことができます。根管治療で救えた歯でも、検診を受けず放置していて再発に気付かないと、対応が遅れて抜歯になってしまうこともありえます。
根管治療後に定期検診を受けるメリットを教えてください。
定期検診には次のような多くのメリットがあります。

【再発の早期発見・対応】
根管治療後の歯やその周囲組織の状態を継続的に観察できます。症状が出ていなくても、内部で再感染が進んでいるような場合には検診で発見し、早期に追加治療を施すことができます。

【補綴物や歯の状態チェック】
根管治療後の歯には被せ物や詰め物が装着されていますが、その適合状態も定期的に確認できます。被せ物と歯の境目に隙間ができていないか、ぐらつきはないかを見てもらい、問題があれば早期に修理・交換することで二次むし歯を防げます。

【クリーニング・予防処置】
定期検診の際には、必要に応じて歯科衛生士らによるお口のクリーニングを受けることができます。日々の歯磨きでは落としきれない歯石やプラークを除去し、フッ素塗布で歯を強化してもらうことで、むし歯や歯周病の予防効果が期待できます。これは治療した歯だけでなくお口全体の健康維持にも役立ちます。

以上のように、定期検診を受けていれば単にトラブルを早期発見できるだけでなく、予防処置によってトラブル自体を起こりにくくし、結果的に根管治療後の歯を長持ちさせることにつながります。

根管治療後はどのくらいの頻度で歯科検診に行けばよいですか?
一般的には最初の検診は治療完了後3〜6ヶ月後に受け、その後は半年に1回程度を目安に受診することがおすすめです。状態によってはそれよりも頻回に受診が推奨されることもあります。まずは担当の歯科医師から指示されたとおりの間隔で受診してください。
検診の項目や検査の方法を教えてください。
根管治療後の定期検診では、主に次のようなことを行います。

【問診・視診・触診】
患者さんから自覚症状の有無を問診し、お口の中を目で見て状態を確認します。治療した歯や被せ物に異常がないか、腫れや膿の出口(フィステル)はないか、噛み合わせは問題ないか、といった点を確認します。必要に応じてその歯を軽く叩いてみて痛みがないか調べることもあります。

【レントゲン検査】
外から見えない根の先や顎の骨の状態を確認するために、定期的にレントゲン撮影も行います。

【被せ物・歯の検査】
被せ物(クラウン)や土台に緩みや隙間がないかを調べます。

【噛み合わせのチェック】
歯科医師が咬合紙などを使って実際の噛み合わせを調べ、治療した歯に過度な力がかかっていないか確認します。

以上が主な検診内容です。これらを定期的に行うことで、根管治療後の歯を良好に維持できるだけでなく、お口全体の健康も守っていくことができます。

根管治療後の歯を長持ちさせるためのセルフケア

根管治療後の歯を長持ちさせるためのセルフケア

根管治療後の歯科検診の重要性についてはわかっていただけたと思います。本章では根管治療後も再発なく、より歯を長持ちさせるためにできるセルフケアについて解説します。

根管治療後の歯には特別なケアが必要ですか?
特別な器具や薬剤を使う必要があるわけではありませんが、普段以上に丁寧なケアと注意が必要です。根管治療を行った歯は神経がなくなっているため、一見問題が起きても痛みなどのサインが出にくくなります。また、歯の構造が脆くなり寿命が縮みがちな傾向があります。そのため、ほかの歯以上に意識して清潔を保ち、過度な負担をかけないようにすることが大切です。
根管治療をした歯を長く保つにはどのようなケアが必要ですか?
根管治療後の歯を少しでも長持ちさせるために、次のようなセルフケアを心がけましょう。

【毎日の口腔ケアを徹底する】
ほかの歯と同様、基本は丁寧な歯みがきとフロス(糸ようじ)で歯垢をしっかり除去することです。特に根管治療をした歯は被せ物と歯の境目や隣の歯との間に汚れが残りやすいので、時間をかけて丁寧に歯磨きをしましょう。

【歯に過度な力をかけない】
固い物を無理に噛み砕くようなことは避けましょう。神経を取った歯はどうしても脆く割れやすいです。歯ぎしり・食いしばりの癖がある方は就寝時にマウスピース(ナイトガード)を装着することも検討してください。これにより無意識下で歯に加わる強い力から歯を守ることができます。

【食生活に気を付ける】
むし歯予防の観点から、普段の食生活も見直しましょう。ダラダラと間食を続けたり、糖分の多いお菓子・飲み物を頻繁に摂る習慣があると、どうしてもむし歯リスクが高まります。治療した歯を再びむし歯にしないためにも、甘いものは適量に控え、食べたら歯を磨くという習慣を徹底しましょう。

【喫煙を控える】
タバコを吸う方は、できれば禁煙もしくは本数を減らすよう努めましょう。喫煙は歯茎の血行を悪くし治癒を妨げるだけでなく、根管治療後の歯の予後にも悪影響を及ぼす可能性があります。

【詰め物・被せ物の状態をチェックする】
根管治療後に装着したクラウンや詰め物は、時間の経過とともに劣化したり隙間ができたりすることがあります。ご自身でも鏡で観察し、境目に違和感があったり食べ物が引っかかる感じがしたら注意が必要です。定期検診できちんと状態を見てもらい、問題が見つかった場合は早めにやり直すようにしましょう。

日常生活で気を付けることがあれば教えてください。
上述したセルフケアのポイントが、日常生活で気を付けていただきたいことです。特別なことをする必要はありませんが、歯磨き・食事・生活習慣・定期検診のすべてにおいて、少しずつ意識を高めることが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

根管治療を行った後も、歯を長持ちさせるためには歯科検診が重要です。また、歯科検診だけはなく、日頃の生活習慣の改善も併せて行うことで、今ある歯をより長持ちさせて使うことができます。すべてを改善するのは難しいと思いますが、一つずつ歯によい習慣を取り入れてください。そして、本記事の内容がその一助になれば幸いです。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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