根管治療期間中に、詰め物が取れて困る方は少なくありません。自宅で突然詰め物が取れたらどうしたらよいのか、慌ててしまうことでしょう。
歯科医院の診療時間内であれば、電話で問い合わせたり受診したりすることができます。問題は、診察時間外に詰め物が取れた場合です。
本記事では、根幹治療で詰め物が取れたときの原因や対処法について詳しく解説します。注意点も解説するため、万が一詰め物が取れた場合は参考にしてください。
根管治療を受けている・検討している患者さんは、ぜひ最後までお付き合いいただけますと幸いです。
根管治療後の詰め物が取れたとき
- 根管治療後の詰め物が取れる原因を教えてください
- 根管治療後に詰め物が取れる主な原因は、以下のとおりです。
- 根管治療後の歯と詰め物の間にむし歯ができた
- 根管内に細菌が侵入し、歯茎が腫れている
- 根管治療後に詰め物が十分に固まらないうちに食事をした
- 根管治療した歯が欠けている
- 詰め物や接着材料が破損・劣化している
- 食事中に硬いものを噛んだ
- 歯ぎしりや食いしばりによって、詰め物に強い圧力をかけている
- 噛み合わせが変化した
- 詰め物が歯に密着しなくなった
根管治療の詰め物が取れる場合、上記のようにさまざまな原因が考えられます。詰め物が取れてしまうと、歯科医院で再度治療を行う必要があります。根管治療を受ける際には、治療後に詰め物が取れる原因や注意事項を歯科医師に確認しましょう。
- 取れた詰め物は保管しておくべきですか?
- 詰め物が取れたら、捨てずに保管して、歯科医院を受診しましょう。歯の状態や詰め物が取れた原因によっては、詰め物を再利用できる可能性があります。
歯科医院を受診する際には、取れた詰め物を忘れずに持っていくことが大切です。水で軽く洗浄し、乾燥しないように容器やポリ袋で保管しましょう。ティッシュで包むと変形の恐れがあるため、注意してください。
破損したり変形したりした詰め物は、再利用できません。詰め物が破損したり変形したりする恐れがあるため、自分で詰め物を付け直すのはやめましょう。
- 詰め物が取れた後に放置するとどうなりますか?
- 詰め物が取れたままにすると、細菌が根管に侵入してしまいます。根管治療は神経と歯髄を取り除いた後、丁寧に掃除・消毒し、空洞になった根管に隙間がないように根管充填剤を詰める治療です。根管補填剤を詰める理由は、以下のとおりです。
- 削った歯の根管に細菌を侵入させないため
- 根管に残った細菌が増えないように空間を埋めるため
- 治療した歯が割れたり亀裂が入ったりするのを防ぐため
細菌が侵入し増えると、根管の先が炎症を起こし、再度根管治療が必要になる可能性があります。詰め物は根管治療後の歯を守るだけではなく、しっかりと噛むためにも大切です。
一度細菌に感染してしまった場合、根管を完全に無菌化することは難しいとされています。現状よりも細菌を増やさないためにも、詰め物は重要です。詰め物が取れてしまったら、そのまま放置しないようにしましょう。
- 根管治療後の詰め物が取れた場合の対処法はありますか?
- 詰め物が取れた場合は、できる限り早めに歯科医院を受診してください。自分で無理に付け直すと、歯や詰め物を破損したり口腔内のダメージを与えたりする恐れがあります。
受診までは、できる限り詰め物が取れた歯で噛まない・歯磨きを優しく丁寧に行うなどが重要です。もし、かかりつけの歯科医院が遠方の場合は、ほかの歯科医院に問い合わせしてから受診しましょう。
根管治療中に仮蓋が取れたとき
- 根管治療中の仮蓋が取れる原因はなんですか?
- 根管治療中に仮蓋が取れる主な原因は以下のとおりです。
- 仮蓋を詰めた後すぐに食事をした
- むし歯ができている
- 仮蓋が壊れている
- 硬いものを噛む
- 歯ぎしりや強く噛むことで仮蓋に過度な負担がかかっている
根管治療は、基本的に2~8回程通院が必要です。根管治療期間中に削った歯に細菌が入らないように保護するために、仮蓋を詰める必要があります。次回治療するまでの間、仮蓋によって清潔できれいな状態を保てます。
万が一根管治療中に仮蓋が取れてしまった場合は、できる限り早めに歯科医院で処置するのが重要です。
- 根管治療中の仮蓋がすりへるのは放置しても大丈夫ですか?
- 根管治療中の仮蓋は、食事や歯磨きによってすりへってしまう可能性があるものの、すりへるだけなら様子を見てもよいとされています。しかし、仮蓋が欠けたり取れたりしてしまうと、歯のなかに細菌が侵入する恐れがあります。
前回の治療効果がなくなってしまうため、できる限り早めに歯科医院を受診して、対応してもらいましょう。すりへった仮蓋が気になる場合も、一人で悩まずに歯科医師に相談してください。
- 仮蓋が取れた後に放置するとどうなりますか?
- 仮蓋が取れた後放置した場合のリスクは以下のとおりです。
- 仮蓋が取れた歯がむし歯や歯周病になる
- 仮蓋が取れた歯に細菌が侵入する
- 冷たい・熱い物を食べたときにしみたり痛みを感じたりする
- 噛み合わせが悪くなる
- 顎の痛みや頭痛症状が出る可能性がある
根管治療中に仮に装着しているのが、仮蓋です。治療が完全に終わるまでは歯科医師の指示通り通院し、治療を受けてください。気になることがあれば、歯科医院で相談しましょう。
- 根管治療中の仮蓋が取れた場合の対処法を教えてください
- 根管治療中に仮蓋が取れたら、できる限り早めに歯科医院を受診しましょう。歯科医院受診までの対処法は、以下のとおりです。
- 細菌感染を起こさないために、優しく丁寧な歯磨きを心がける
- 仮蓋が取れた歯で噛んだり、熱い・冷たいものに触れたりしない
- 接着剤で仮蓋を付けようとしない
根管治療で使われるセメントは、歯科治療用です。一般的な接着剤を使用すると、歯科医院で取り外す際に歯を削ることになる場合があります。仮蓋の再利用ができない・歯にダメージを与えるなどの悪影響があるため、歯科医院で仮蓋を付けることが重要です。
根管治療中・治療後の注意点
- 根管治療後の詰め物が取れないための注意点はありますか?
- 根管治療後の詰め物が取れないための注意点は、以下のとおりです。
- 治療後すぐに食事しない
- 食事中は治療した歯で硬いものをできる限り噛まない
根管治療の詰め物は保険治療と自費治療で使用できる材料が異なります。保険適用の詰め物は、体内に吸収されず安定性があるというメリットがありますが、根管充填剤としての性質は低いため再感染を起こすデメリットがあります。
自費治療の詰め物は、保険適用よりも費用がかかるデメリットに対して、封鎖性や強度などの面において根管充填剤に適しているメリットがあります。根管充填剤が脱離することはありません。
- 根管治療中の仮蓋が取れないための注意点を教えてください
- 根管治療中の仮蓋が取れないための注意点は、以下のとおりです。
- 仮蓋をつけてから30分以内は食事をしない
- 治療中の歯で硬いものを噛まない
- 根管治療中の歯を力強く歯磨きをしない
- 気になったとしても、仮蓋を舌や手で触らない
根管治療中に違和感や気になることがある場合は、歯科医師に相談しましょう。
編集部まとめ
根管治療は、歯科治療のなかでも高度な技術や十分な設備が必要です。根管治療を受ける際には、十分な設備と経験豊富な医師がいる歯科医院を選びましょう。
根管治療における詰め物は、細菌から治療した歯の保護・根管に残っている細菌が増殖しないようスペースを埋める・治療した歯が割れたり亀裂が入ったりするのを防ぐためにあります。
根管治療中の仮蓋は、次回の治療までの間に治療中の歯に細菌が侵入しないためにあります。それぞれの効果や目的をしっかりと理解することが重要です。
詰め物や仮蓋が取れたのをそのまま放置すると、場合によっては抜歯する恐れがあります。根管治療は、ご自身の歯を残すために必要な治療です。
もし、根管治療中や治療後に詰め物や仮蓋が取れてしまった場合は、放置せずにできる限り早めに歯科医院を受診しましょう。
根管治療を受けたら、完全に治療が終了というわけではありません。定期的に歯科医院で検診を受けることも大事です。
参考文献