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根管治療における根幹開放とは?開けっ放しだけど大丈夫?根管開放について解説します

根管治療 開けっ放し

根管治療で穴が開けっ放しになっていることに不安を抱えている方も多いのではないでしょうか? 本記事では、根管治療で穴を開けっ放しにする根管開放について以下の点を中心に詳しく解説します!

  • 根管開放とは
  • 根管開放で気になる点
  • 根管治療を途中でやめてしまうリスク

根管開放について理解するためにもご参考いただけたら幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

根管治療で穴を開けっ放しにする根管開放とは

根管治療で穴を開けっ放しにする根管開放とは

根管開放をする理由はなんですか?
歯の根管治療は、むし歯やそのほかの原因で歯の内部が感染してしまった場合に施される治療法ですが、治療を途中で放置したり、長期間むし歯を治療せずに悪化させたしまったりした結果、歯の根に膿が溜まり、激痛や顔の腫れなどの症状を引き起こすことがあります。

そこで、根管治療の一環として「根管開放」が行われます。これは、根管の清掃後、仮封(蓋)をせずにそのままにする処置であり、蓄積された膿やガスを放出し、内部圧力を下げることで痛みを軽減させることが目的です。

このように根管開放は、歯内部の圧力を逃がし、炎症を早期に改善して、歯を残すための重要な治療法です。

根管開放はアメリカでも行われていますか?
日本では、患者さんの快適性と治療の即時性を重視して、根管開放が広く行われていますが、アメリカにおいては、この治療方法に対する見解が異なります。米国歯内療法学会(AAE)のガイドラインでは、根管開放をする場合、その期間を極力短くすることが推奨されています。具体的には、翌日までの短期間に限定して根管を開放することは許容されているものの、長期間にわたる開放は避けるべきとされています。 これは、開放された根管が口腔内の細菌にさらされることで、二次感染のリスクが高まるためです。

アメリカにおける歯科治療では、根管治療の成功と予後の良好さを優先としています。 そのため、根管開放をする際には、その後の根管の密閉やはやめの治療再開が強く推奨されます。さらに、アメリカの歯内療法医の中には、根管開放自体を危険と考え、できる限り他の代替治療法を行うという意見もあります。

このように、日本では患者さんの痛み緩和を重視して根管開放が広く行われている一方で、アメリカでは潜在的なリスクを避け、長期的な歯の健康を確保するために慎重な姿勢を取っています。この違いは、各国の歯科医療における治療方針の差異を反映していると言えるでしょう。

根管開放で気になる点

根管開放で気になる点

仮詰めなしでの食事はしても良いですか?
仮詰めをしていない状態での食事について心配される方も多いと思います。しかし、基本的には、注意を払いながらであれば、食事を取ること自体は問題ありません。ただし、いくつか注意すべきポイントがあります。
まず、治療中の歯に過度の負担がかからないよう、その歯で硬い食べ物を噛まないようにすることが大切です。また、できる限り治療中の歯の反対側で食べ物を噛むように心がけると良いでしょう。

食後のケアとしては、普段よりも丁寧に歯を磨き、開放されている部分に食ベカスが残らないよう、注意してください。また、水で口の中をすすいだり、やわらかい歯ブラシを使用したりするなどして、治療部位を傷つけないようにすることも重要です。

万が一、食べ物が治療中の歯に詰まってしまい、取れない場合は無理に自分で取り除こうとせず、早めに歯医者さんに相談しましょう。

このように仮詰めをしていない状態での食事は、日常的なケアと注意を払うことが前提となります。食事と口腔ケアのバランスを保ちながら、快適な治療期間を過ごしましょう。

根管開放中、においが気になりますか?
根管開放によって膿を排出する過程で、膿の含む細菌が分解されることで不快なにおいが発生することがあります。
根管治療の中でもこのにおいが悩みになる患者さんも多くいらっしゃると思います。治療中にこのような状況が発生した場合、念入りに歯を磨き、口内を清潔に保つことが重要です。また、口臭予防用の洗口液を使用することも一つの方法です。

根管開放治療を受けている間は、定期的に歯科医師による診察が必要です。治療の進行状況を確認し、適切なケアを行うことで、においの問題を含めたさまざまな懸念の解消が期待できます。そのため、患者さんは疑問や不安について、遠慮なく主治医に相談し、アドバイスを求めることが大切です。

根管治療を途中でやめてしまうリスク

根管治療を途中でやめてしまうリスク

根管治療を途中でやめて、再度初めても治療の成功率は変わりませんか?
根管治療は、歯の深い部分にある痛みや感染を治療するために行われます。治療が始まると、初期段階で感じていた痛みが消え、これをもって治療完了と勘違いし、途中で治療を中断してしまう患者さんもいます。
しかし、この判断は早計であり、潜在的なリスクをはらんでいます。治療の初期段階で痛みが消えるのは、感染源の一部が除去され、一時的に症状が改善されるためです。仮の蓋だけで根管を塞いでいる状態では、再度感染が起きるリスクがあります。このような状態で治療を中断し、後になって再開すると、治療の成功率に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、治療を中断してしまうと、根管内に入れられた充填材(詰め物)の周りにバイオフィルムが形成されることがあります。このバイオフィルムは、感染源となり得る細菌の集合体であり、治療を再開する際には、充填材が汚染され、除去が困難になってしまうこともあります。このような場合根管治療の成功率をさらに下げる要因となります。

これらの理由から、根管治療は一度開始したら途中で放棄せずに最後まで続けることが重要です。治療を途中でやめると、治療の成功率が低下し、場合によっては抜歯が必要になることもあります。

根管治療は完了までにどれくらいの期間がかかりますか?
治療期間は、患者さんの状態によって大きく異なり、炎症が重い場合や根管が複数ある場合は、治療が複雑になり、それだけ時間がかかる可能性があります。根管治療は、約2〜3回の診療で完了することが多いようです。この場合、患者さんは1週間に1回のペースで診療を受け、合計2〜3週間で治療が終わります。

治療には、1回あたり約30分程度の時間を要するとされています。なかでも、再治療の場合や奥歯の治療では、時間が長くなる傾向にあります。

このように根管治療の期間は患者さんの口腔内の状態や治療する歯の位置、さらには治療を受ける歯科医院の方針によって異なります。複雑なケースでは数ヶ月要することもありますが、約2〜3週間で治療を完了できるケースが多いようです。

重要なのは、質の高い治療を受けることであり、そのためには適切な期間を設定し、患者さんは、歯科医師と十分にコミュニケーションを取ることが大切です。

根管治療の穴をそのまま数年放置したらどうなる可能性がありますか?
根管治療の穴を数年にわたって放置した場合、さまざまな深刻な問題が生じる可能性があります。まず歯内部は細菌が侵入しやすい環境になり、これが再感染の原因となり得ます。
細菌が歯髄に侵入し、炎症を引き起こすと、患者さんは激しい痛みを感じますが、時間が経つにつれて、痛みがなくなることがあります。これは、歯が「治った」と誤解してしまう恐れがありますが、実際には神経が死んでしまい問題がさらに悪化している証拠です。

最終的には歯を支える骨の破壊を引き起こす可能性があります。これが長期にわたって続くと、歯を救うことが困難になり、抜歯しなければならない状況に陥る恐れがあります。

結果として、根管治療を途中で放置することは、痛みの増加、歯の機能の喪失、さらには抜歯に至るリスクを高めます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで根管治療における根管開放についてお伝えしてきました。 根管開放の要点をまとめると以下の通りです。

  • 根管開放は、歯内部の圧力を逃がし、炎症を早期に改善して、歯を残すための治療法
  • 根管開放によって膿を排出する過程で、膿の含む細菌が分解されることで不快なにおいが発生することがある
  • 根管治療を途中でやめてしまうと初回より成功率が下がる

根管開放に対して不安を抱えている方のお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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