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根管治療

再根管治療が必要になる原因は?必要になるケースや予防法を解説

再根管治療 原因

再根管治療は、一度根管治療を受けた歯が再び問題を引き起こした際に行われます。 再根管治療に至る原因はさまざまですが、約半数以上の患者さんが再根管治療を受けているといわれています。 本記事では再根管治療が必要になる原因について以下の点を中心にご紹介します。

  • 再根管治療とは?
  • 再根管治療が必要になる原因は?
  • 根管治療を受ける際に知っておきたいこと

再根管治療が必要になる原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

再根管治療が必要になるケース

再根管治療が必要になるケース

根管治療をした歯が痛むのはなぜですか?
根管治療後に歯が痛むのには、いくつかの理由があります。

根管治療中に行われる清掃や洗浄の後は、抗生剤や殺菌剤を含む薬剤を根管内に充填します。この充填作業で根管を圧迫し、周囲の組織や神経を刺激するため、歯茎や顎の骨に痛みを感じることがあります。
この痛みは通常、治療後約1~2日で落ち着くことが多いようです。

また、治療直後に痛みを感じる場合、根管内の神経を取り除く過程で歯の周りの組織にも刺激が伝わり、痛みとして現れます。この痛みも約1~3日程度で和らぎます。

一方で、治療完了後の痛みが続く場合、根管内の細菌が除去されずに残存している可能性があります。
主に細菌の再繁殖による炎症が原因で、ズキズキとした痛みが生じることがあります。
また、歯茎の腫れと痛みが伴う場合は、歯の根の先端に膿が溜まって炎症を起こしていると考えられます。
このような状況では、再治療が必要になることがあり、膿を排出するための外科的な処置が行われることもあります。

根管治療後の痛みは、治療過程での物理的刺激や残存細菌による炎症など、さまざまな要因によって引き起こされます。
痛みが長引く場合は、迅速に歯科医師に相談し、適切な対処を受けることが重要です。

どれくらいの割合で再治療を受けますか?
根管治療後に再治療が必要となるケースは多く、約半数以上の患者さんが再根管治療を受けています。
これは主に、初回の根管治療後に、まだ根管に感染が残っていたことによって起こります。
また、60代以上の患者数は40~50代の約1.5倍を占めており、高齢化社会のため、過去に治療された歯に対する再根管治療を含む再治療率も高くなると考えられています。

これらのデータから、根管治療の困難さと、根管治療を受けた後でも定期的な診断と適切なケアが重要であることがわかります。

再根管治療が必要になる原因を教えてください
再根管治療が必要となる理由は多岐にわたりますが、主要な原因は以下の通りです。

  • 治療済みの根管内に残存する細菌や汚染物質が炎症を引き起こす:根管内の洗浄や消毒が不完全であった場合や、根管の複雑な枝分かれにより一部が治療から漏れることで生じることがあります。
  • 不適切な充填:根管内に薬剤を充填する過程で、この充填が適切に行われなかった場合も問題となります。充填材が不十分であると、隙間から細菌が侵入し再感染の原因となります。
  • 被せ物の不備:根管治療後に適切な時間内に被せ物を施さなかったり、被せ物の装着具合が悪かったりすると、細菌が根管内に侵入しやすくなります。
  • 歯根の問題:歯根がもろくなることも、再治療の必要性を高める要因です。特に、歯根にひびが入ったり、破折したりする場合には、根管治療だけでは対処できず、抜歯が必要になることもあります。
  • 治療の中断:治療が完了する前に患者さんが通院を長期間中断してしまった場合、細菌が根管内に侵入して再び感染を起こし、再根幹治療が必要になることが多いようです。
どのような場合に再根管治療が必要になりますか?
再根管治療が必要な場合は、主に以下のような場合です。

  • 違和感や噛みにくさ:根管治療を受けた後、数ヶ月から数年で歯に違和感が生じ、しっかり噛みなくなることがあります
  • 痛みや腫れの再発:一度は治まったと思われた痛みや腫れが、再び現れる場合があります
  • 歯肉から膿が出る:治療済みの歯の周りの歯肉から膿が出てくる状態も、再治療のサインです
  • レントゲンでの異常:治療した歯の根の先に膿が溜まり、周囲の骨が溶け始めている様子がレントゲンで確認されることがあります

これらの症状に該当する場合、既存の治療材料を取り除き、根管を再度クリーニングし、適切に消毒して充填することで、歯の健康を回復させる再根管治療が推奨されます。

再根管治療について

再根管治療について

再根管治療とはどのような治療ですか?
再根管治療は、一度行われた根管治療が十分な効果を得られなかった、または時間が経過して再び問題が生じた歯を対象に施される治療法です。 再根管治療は、根管内の残った細菌を除去し、再発した根尖性歯周炎を治療することを目的としています。
初回の治療で完全に細菌が取り除かれなかった、またはその後に新たな感染が起きた場合に、歯の内部を再度清掃し、消毒して細菌の数を減少させ、再発防止を目指して慎重に行われます。

また、再根管治療は、1度目の根管治療よりも難易度が上がるため、全ての歯科医院が対応しているわけではありません。

再根管治療の流れについて教えてください
再根管治療の流れは歯科医院によって異なる場合もありますが、主に以下の手順に従って行われます。

  1. 初回のカウンセリング時に、患者さんの症状や口腔内の状態を診察します。必要であればCT検査が実施される場合もあります。治療方針や治療にかかる費用についての説明などが行われます。
  2. 再根管治療では、まず、局所麻酔を施します。痛みが強い場合は、治療前に抗生物質や鎮痛剤を使用して痛みを和らげることがあります。
  3. 次に、根管治療を行うための準備として、根管内に唾液が入らないように隔壁を作り、ラバーダムを装着します。(ラバーダムを使用しない場合もあります)
  4. 以前の根管治療で使用された充填剤(例えばガッタパーチャなど)を取り除きます。根管内の汚れや細菌のバイオフィルムを、細い超音波チップなどの専用器具を使用して除去します。取り除きにくいバイオフィルムが再感染の原因となるため重要な作業となります。
  5. 最後に、根管内に適切な材料を充填し完了となります。

再根管治療の成功率は、初回の治療と比べて低くなることがあります。
これは、バイオフィルムに包まれた充填材が根管内にへばりついており、取り除くのが難しく、感染源の取り残しが起こりやすいためです。

また、歯根が垂直に破折している場合は、基本的に抜歯が推奨されます。
歯の保存を希望する場合は接着剤でつなぎとめる方法もありますが、長期的な保証は難しいです。

治療後は、約1~3ヶ月後に経過観察を行い、24ヶ月以内に問題が再発した場合は、さらなる治療が必要になる場合があります。

再根管治療の成功率について教えてください
再根管治療の成功率は、約60~90%程度とされています。この数値の開きには、根尖病変の有無が関わっており、根の先に膿がたまっているような症例では、成功率はさらに低くなる傾向にあります。

再根管治療の成功率を下げる要因について詳しく解説すると、まず初回の治療で根管が複雑化してしまうことが挙げられます。
治療過程で新たな道が形成されたり、器具によって根尖部に穴が開いたりすることで、根管の形状がより複雑になり、再根管治療の際に処置することが難しくなります。
また、繰り返しの治療で歯質が削られ、歯が薄くなることもあります。これにより、細菌感染が改善されたとしても、歯の割れや破損のリスクが高まり、さらなる治療が必要になることがあります。

さらに、再治療における根尖病変が5mm以上の大きさの場合、成功率はさらに低下するといわれています。

根管治療を受ける前に知っておきたいこと

根管治療を受ける前に知っておきたいこと

根管治療の成功率を上げる技術について教えてください
根管治療の成功率を高めるためには、技術と手順が重要です。

まず、治療を無菌的に行うことが基本です。これにはラバーダムの使用や、新品、または滅菌された器具の使用が含まれます。
次に、徹底的な洗浄が必要です。これには、歯科用マイクロスコープを使用して見逃されがちな根管や感染物質を除去し、ニッケルチタンやタングステンファイル、適切な濃度の次亜塩素酸ナトリウム、超音波ファイルを用いることが挙げられます。
最後に、バイオセラミックシーラーやMTAなどを使用した、菌の緊密な封鎖が重要です。
これらの手順を遵守することで、治療後の細菌感染を抑え、根管治療の成功率を高めることが可能になるといわれています。特に、ラバーダムの使用は、唾液を介した常在菌の侵入リスクを低減させ、再感染を防ぐために重要なポイントです。

しかし、ラバーダムやマイクロスコープを導入している歯科医院は限られており、根管治療を受ける歯科医院がこれらの技術を採用しているか確認することも重要です。

根管治療を受けられる回数に限度はありますか?
根管治療には、受けられる回数に限度があります。 根管治療は歯の保存を目的とした治療ですが、治療を繰り返すたびに歯の質が少なくなってしまいます。
つまり、治療を重ねるごとに、歯が本来持っていた強度を失っていき、最終的には歯を支えられなくなる可能性があります。
そのため、「また治療すればいい」と安易に考えず、最初から高い精度を望める治療を受けることが大切です。
これにより、再発のリスクを減らし、長期的な歯の保存を目指せます。
だからこそ、根管治療を受ける際は、技術力の高い歯科医師による丁寧な治療を選ぶことが、歯を長持ちさせる秘訣と言えるでしょう。
再根管治療の予防策について教えてください
再根管治療の予防策には、初回の根管治療が重要であることは本より、これまでに述べてきたように、無菌的な処置の徹底、徹底的な洗浄、そして緊密な封鎖が重要です。
患者さんにできることは、クリニック選びと、保険診療か自由診療の選択です。
保険診療と自由診療のどちらを選択するのかによって、受けられる治療内容が異なってきます。

保険診療では、治療に使用できる材料や方法に制限があるため、再発率が高い傾向にありますが、自由診療ではより高度な技術や材料を用いるため、再発率の低下が望めるといわれています。
この差は、自由診療により利用できる精密な治療方法と、より良質な材料が再発防止に関係していると考えられるためです。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで再根管治療が必要になる原因についてお伝えしてきました。 再根管治療が必要になる原因の要点をまとめると以下の通りです。

  • 再根管治療は、一度行われた根管治療が十分な効果を得られなかった、または時間が経過して再び問題が生じた歯を対象に施される治療法で、約半数以上の患者さんが再根管治療を受けている
  • 再根管治療が必要になる原因は、治療済みの根管内に残存する細菌や汚染物質が炎症を引き起こす、不適切な充填、被せ物の不備、歯根の問題などが挙げられる
  • 根管治療を受ける際は、ラバーダムやマイクロスコープなど成功率の高い設備のある歯科医院を選択し、技術力の高い歯科医師による丁寧な治療を選ぶことが大切

再根管治療への疑問の解消や、再根管治療を防ぐためにも、これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

宮島 悠旗医師(宮島悠旗ブライトオーソドンティクス)

愛知学院大学歯学部卒業 / 東京歯科大学千葉病院にて臨床研修医終了 / 東北大学大学院歯学研究科口腔発育学口座顎口腔矯正学分野 助教 / 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス起業 / 著書「国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の『デンタルケア』-」(幻冬舎)出版 / 合同会社T&Y Connection設立 / ASIA GOLDEN STARAWARD(企業家賞)受賞 / 著書「歯並び美人で充実人生-幸せを呼ぶゴールデンスマイル-」(合同フォレスト)出版 / 株式会社オーティカインターナショナル認定講師 / 現在は宮島悠旗ブライトオーソドンティクス代表としてフリーランス矯正歯科医を行っている / 専門は矯正歯科(Invisalign®︎、小児矯正、Myobrace®︎、マルチブラケット、アンカースクリュー、PBMオルソ(光加速矯正装置))

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