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根管治療

根管治療中における仮歯のメリット・デメリット、仮歯期間に注意することや取れた場合の対処法について解説

根管治療中における仮歯のメリット・デメリット、仮歯期間に注意することや取れた場合の対処法について解説

歯の神経の治療である根管治療をしているときに、歯科医師から仮歯を作製するといわれることがあります。仮歯は歯の形をした仮の歯のことです。

根管治療中には、なぜ仮歯が必要なのでしょうか。また、どのようにして仮歯を作製するのでしょうか。

本記事では根管治療中の仮歯が必要な理由をご紹介します。仮歯の作製も含めて、根管治療の流れも解説します。

根管治療の仮歯について

説明する女性

根管治療の仮歯とはなんですか?
根管治療中は土台に仮歯を装着します。仮歯とは根管治療が終了し、土台を形成した後に装着しておく仮の歯のことです。材質はコンポジットレジンで作られることが多く、実際の歯に似た見た目になっています。仮歯と似たものとして、仮蓋と呼ばれるものもあります。仮詰めや仮封とも呼ばれ、根管治療で治療のたびごとに付け替えをして治療部に細菌が入るのを防ぐものです。材質はゴムのような素材のストッピングと、水によって固まる性質を持つ水硬性セメントの2種類があります。仮歯が歯の形をしているのに対して、仮蓋は歯の形をしておらず、簡単に撤去が可能です。
根管治療における仮歯の期間はどのくらいですか?
仮歯を装着するのは、最終的な被せ物をするまでの間です。そのため、通常の場合は1~2週間程の短い期間になるでしょう。ただし、さらに歯の根の治療を行う場合や、歯周病が重症化しているケースでは長引くこともあります。場合によっては、数ヵ月以上かかることもあるでしょう。仮歯はセラミックや金属と比較するとやわらかい素材でできているため、長期間装着していると徐々に削れていく可能性があります。また取り外すことが前提に作られているため、精度が低く、歯茎との隙間があるとむし歯や歯周病の原因にもなりかねません。
根管治療では必ず仮歯が必要ですか?
根管治療中に仮歯が必要な理由には、次のようなものが挙げられます。
  • 外部の刺激や感染を防ぐ
  • 見た目をよくする
  • 食事をしやすくする
  • 噛み合わせが変わらないようにする

1つ目に、外部の刺激や感染を防ぐことです。神経が残っている歯では、細菌により感染したり、熱や歯ブラシの刺激で痛みが出たりすることがあります。2つ目は見た目の問題です。特に前歯のように目立つ部分に歯がないと審美性を損なうことになります。3つ目に、仮歯には食事をしやすくする目的があります。仮歯でしっかり噛むことはできませんが、咀嚼機能をサポートしてくれるでしょう。最後に、嚙み合わせが変わらないようにすることです。歯が抜けた状態を放置すると、歯並びが変わって噛み合わせが悪くなることがあります。最後に、仮歯には隣の歯が移動するのを防ぐ目的もあります。スペースがあると歯はそこに移動することがあるからです。

根管治療の仮歯のメリットとデメリットを教えてください。
まず、根管治療の仮歯には次のようなメリットがあります。
  • 噛むことができる
  • 審美性が向上する
  • 歯の移動を防げる

仮歯を装着すると、食事の際に噛みやすくなるメリットがあります。天然歯と同じ程強く噛めるわけではありませんが、ないよりも食事がしやすくなります。また、審美性が向上するのもメリットです。前歯のような目立ちやすい箇所では、仮歯があるのとないのとでは、見た目に大きな違いがあります。最後に、仮歯には隣の歯が移動するのを防ぐ目的もあります。スペースがあると歯はそこに移動することがあるからです。次に、仮歯のデメリットをご紹介します。

  • 耐久性が弱い
  • 細菌が侵入する可能性がある
  • こまめなケアが必要

デメリットの1つは、仮歯自体の耐久性が弱いことです。仮歯はセラミックやジルコニアなどで作製された被せ物と違ってプラスチック製でできているため、衝撃や食べ物によって割れたり、外れたりする可能性があります。2つ目に、細菌が侵入する可能性があることです。仮歯は一時的なものですぐに取り外せるよう接着効果が弱い仮着用セメントで接着しているため、隙間があると細菌が侵入する可能性があります。最後に、こまめなケアが必要になることも挙げられるでしょう。仮歯はプラスチック製のため、天然歯よりしっかりしたケアが求められます。

根管治療の仮歯期間で注意すること

治療中

根管治療の仮歯期間の食事について教えてください。
根管治療の仮歯期間の食事では、硬い食べ物や粘着性のある食べ物に注意が必要です。すでに説明したとおり、仮歯は天然歯より弱いため、硬い食べ物を食べると割れることがあります。フランスパン・スルメ・おせんべいなど硬い食べ物はできるだけ避けましょう。また、粘着性のある食べ物にも注意が必要です。仮歯は接着力の弱い接着剤で仮止めされているため、粘着性のある食べ物を食べると外れる可能性があります。ガム・キャラメル・餅など歯にくっつきやすい食べ物も避けたほうがよいでしょう。なお、根管治療後に食事をする際には、麻酔が切れてから食事をするようにしてください。麻酔が効いている状態では舌や頬を噛んだり、やけどをしたりしても気付かない場合があり、麻酔が切れてから痛みを感じる可能性があるからです。
根管治療の仮歯期間の生活で気をつけることはありますか?
根管治療の仮歯期間の生活で気をつけることには、強く噛みしめたり、歯ぎしりしたりしないことです。仮歯は天然歯より弱い材質で作られているため、強い力がかかると割れる場合があります。仮歯の噛み合わせに慣れないうちは余計な力がかかる場合があるため注意しましょう。仮歯に違和感がある場合は歯科医院で相談するとよいでしょう。ほかには、歯磨きの際にも注意が必要です。仮歯は傷や汚れが付きやすいため、丁寧なケアが必要になります。ゴシゴシ強く磨くのではなく、優しくケアしましょう。細菌が侵入しないよう仮歯の根元の汚れには特に注意しながら磨きます。最後に、仮歯の期間中に治療を中断しないことも重要です。もし、仮歯の状態で治療を長期間中止すると、仮歯がすり減って噛み合わせに不具合が生じたり、プラークの影響で歯肉の状態が悪化したりするケースがあるでしょう。

根管治療中の仮歯が取れた場合の対処法

施術後

仮歯が取れてしまった場合の対処法を教えてください。
仮歯が取れた場合は、自分で取り付けたり、放置したりせずできるだけ早く歯科医院で受診しましょう。外れたまま放置していると、細菌が繁殖しやすくなるからです。また、歯が移動する原因にもなり、噛み合わせが悪くなる場合もあります。そして、噛み合わせが悪くなると食べ物を噛みきれず消化が悪くなることにもつながりかねません。取れた仮歯は捨てずに歯科医院に持参します。歯科医院に持参すれば、たとえ割れていても仮歯を修理して再利用が可能な場合が少なくないからです。なお、もし仮歯ではなく、仮蓋が外れた場合は持参する必要はありません。
仮歯が取れたまま放置したらどうなりますか?
仮歯が取れたまま放置すると、さまざまな問題が生じる可能性があります。具体的には、むき出しになった歯肉が傷付いたり顎骨に細菌が入ったりするなどの問題です。顎骨に細菌が入ると顎の骨が溶けてしまい、被せ物が入れられなくなることもあります。さらに、歯に汚れや細菌が入ると根管治療のやり直しになるケースもあります。別の問題には、噛み合わせが悪くなることも挙げられるでしょう。仮歯が取れたままにするとそのスペースに隣の歯が移動して、噛み合わせが変化する可能性があります。仮歯が取れた場合は放置せず、すぐに歯科医院で受診することが大切です。

編集部まとめ

自身のある女性

本記事では、根管治療中に仮歯が必要かどうかを中心に解説しました。

根管治療中は外部の刺激や感染を防ぐ・見た目をよくする・食事をしやすくする・噛み合わせが変わらないようにする・隣の歯が移動するのを防ぐなどの理由で仮歯が必要です。

仮歯を装着するのは被せ物ができあがるまでの短い期間ですが、被せ物と同じ程には精密に作られていないため、外れたりする可能性もあります。

もし、仮歯が外れた場合は、できるだけ早めに歯科医院で受診しましょう。受診の際には外れた仮歯を持参するのも忘れないでください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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