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乳歯でも神経を抜くの?乳歯の根管治療について徹底解説!

乳歯でも神経を抜くの?乳歯の根管治療について徹底解説!

「乳歯の治療でも神経を抜くことはあるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。乳歯の健康は、永久歯や将来の歯並びにも深く関わっています。
本記事では乳歯の神経を抜く治療について以下の点を中心にご紹介します。

  • 乳歯の神経を抜くケース
  • 乳歯の根管治療について
  • 乳歯の根管治療の流れ

乳歯の神経を抜くケースについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

乳歯の神経を抜くケース

乳歯の神経を抜くケース

乳歯の神経を抜くケースは、主にむし歯が進行して神経にまで影響が及んだ場合に行われることがあります。乳歯は永久歯に比べて厚みが薄く、やわらかい構造を持つため、むし歯が進行しやすい特徴があります。

進行したむし歯が神経に達すると、歯の痛みや歯肉の腫れが起きることがあり、これを放置するとさらなる感染や痛みの悪化が懸念されます。
そのため、根管治療を通じて神経を除去する処置が必要とされる場合があります。

根管治療は、感染した神経や組織を取り除き、根管内を清潔にする処置です。
この治療は、痛みを和らげるだけでなく、永久歯への影響を防ぐ目的でも行われます。乳歯が適切に残っていることは、永久歯が正しい位置に生えるためのスペースを保つ役割を果たします。乳歯を早期に失うと隣の歯が傾くことで歯並びが乱れ、永久歯が正しい位置に生えにくくなる可能性があります。

さらに、乳歯のむし歯を適切に治療しないと、永久歯がむし歯や発育不全を引き起こすリスクも高まります。
例えば、むし歯が原因で膿が溜まると、その影響が永久歯に波及し、正常に発育できなくなることが懸念されます。

乳歯の健康を保つためには、むし歯の予防と早期発見が重要です。定期的な歯科検診や適切な歯磨き習慣が、乳歯の健康を守るうえで大きな役割を果たします。
乳歯の神経を抜く治療が必要にならないよう、日常的なケアを徹底することが大切です。

乳歯のむし歯を放置するのは危険?

乳歯のむし歯を放置するのは危険?

乳歯のむし歯を放置することは、子どもの口腔健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。乳歯はエナメル質が薄く、神経までの距離も短いため、むし歯が進行しやすい特徴があります。放置したむし歯が神経に到達すると、強い痛みを引き起こし、食事がとりにくくなったり、睡眠が妨げられる場合もあるとされています。

さらに、神経が感染した乳歯は根の先に膿を形成することがあります。この膿は永久歯の発育に悪影響を及ぼす可能性があり、正常な位置からずれて生えてくる、あるいはむし歯になりやすい状態で生えてくることが懸念されます。
また、膿が歯茎を刺激して腫れや痛みを引き起こすこともあります。

乳歯のむし歯を適切に治療しないと、完治が難しく再発しやすいといわれています。特に、膿が再発すると永久歯に与える影響が大きくなる可能性があるため、早期の診断と治療が推奨されています。

定期的な歯科検診とむし歯の早期発見が、乳歯の健康を守る重要な鍵です。異常を感じた場合は、早めに歯科医院を受診することが望ましいでしょう。

乳歯の根管治療について

乳歯の根管治療について

乳歯を根管治療する際、痛みや歯の変色があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。以下で詳しく解説します。

治療に伴う痛み

乳歯の根管治療で、多くの方が気にされるのが”痛み”についてです。 治療中は局所麻酔が使用されるため、痛みを感じることは少ないとされています。

麻酔自体も、表面麻酔や極細の針を使用した電動麻酔器を用いることで、可能な限り負担が少なくなるよう配慮されています。必要に応じて、笑気吸入鎮静法を併用する場合もあるため、リラックスした状態で治療を受けられるでしょう。

治療後は、麻酔が切れると一時的に痛みを感じる場合があります。
これは、治療によって周囲の神経が刺激を受けたことによるもので、2〜3日程度で徐々に軽減することが多いとされています。この間、痛みが気になる場合には、歯科医院に相談することで、適切な対応が期待できます。

乳歯の根管治療は、子どもの歯の健康を守るために重要な処置です。痛みを軽減するためのさまざまな工夫が取り入れられています。

治療後の歯の変色

乳歯の根管治療を受けた後、歯の変色が見られることがあります。この変色は、神経を除去することで歯に栄養が行き届かなくなることが原因とされています。

神経を失った歯は”失活歯”と呼ばれ、時間の経過とともに黒っぽくなる場合があります。
この変色は、象牙質に含まれるコラーゲンが変質したり、歯髄内の血液が象牙質の細かな穴に入り込むことで生じるとされています。

変色は見た目に影響するものの、健康面や機能面に大きな問題をもたらすことは少ないと考えられています。
また、乳歯が永久歯へ生え変わった際には、正常な色の歯が生えてくるため、心配する必要はないでしょう。永久歯の発育に直接的な悪影響を及ぼすことはないとされています。

ただし、変色を目立たなくしたい場合や、見た目が気になる場合には歯科医院で相談することで、適切な対応が提案される可能性があります。
乳歯の健康を守りつつ、適切なケアを受けることで、安心して治療を進められるでしょう。

乳歯の根管治療の流れ

乳歯の根管治療の流れ

乳歯の根管治療はどのような流れで行われるのでしょうか。
以下で段階ごとに解説します。

1.歯を削って神経を除去する

乳歯の根管治療の第一段階では、局所麻酔を施したうえで、むし歯に感染した部分を削り、神経を除去します。麻酔に使用される注射針はとても細く、さらに表面麻酔を併用することで痛みが軽減されるとされています。

歯を削った後、根管内にある神経を取り除くために”ファイル”と呼ばれる専用の器具を使用します。乳歯の神経がある空間(歯髄腔)は、小児の場合広めの構造をしているため、スムーズに処置が進められることが多いと考えられています。

この段階の治療は、感染をすべて取り除くことを目的としており、後の治療の成功を左右する重要なプロセスです。
感染が残らないよう丁寧に処置が行われるため、疑問や不安がある場合は歯科医師に相談してみてください。

2.根管を拡大する

乳歯の根管治療の第二段階は、”根管の拡大”です。
この工程では、根管内を徹底的に洗浄・消毒するための準備として、複数の細く曲がりくねった根管を太くまっすぐな1本の根管に整えます。この作業により、細菌や汚れが除去しやすくなり、治療の精度を高めることが期待されます。

根管の拡大には”ファイル”という専用の器具が用いられ、根管の壁を丁寧に削ることで太さと形を整えていきます。
この工程は治療の成功に直結する重要なステップです。不安がある場合は、治療内容を歯科医師に相談してみることをおすすめします。

3.根管を洗浄・消毒して薬剤を充填する

乳歯の根管治療の最後のステップは、”根管の洗浄・消毒、薬剤の充填”です。
この工程では、根管内を無菌状態にするために徹底的な洗浄と消毒が行われ、炎症を抑える薬剤が充填されます。根管内が清潔に保たれるまで、この作業を複数回繰り返すことがあります。

乳歯の根管治療では、最終的に”ビタベックス”という薬剤が使用されることが多いとされています。この薬剤は、乳歯の根が永久歯に吸収される際に邪魔にならないよう、自然に吸収される特性を持っています。その後、噛む機能を回復させるため、詰め物やかぶせ物が装着されます。

奥歯の場合は、噛む力に耐えられるようにステンレス製の既製冠を使用することが推奨されることがあります。これにより、乳歯をしっかりと保護しながら、永久歯への影響を可能な限り抑えることが期待されます。見た目が気になる場合には、歯科医師と相談のうえで適切な方法を選ぶとよいでしょう。

乳歯の神経を抜くことによる永久歯への影響

乳歯の神経を抜くことによる永久歯への影響

乳歯の神経を抜くことで、永久歯に直接的な影響が出ることはないとされています。 乳歯と永久歯は独立した歯であり、それぞれの神経も別のものです。 そのため、乳歯の神経を除去しても、適切な治療が行われていれば、健康な永久歯が正しい時期に生えてくるでしょう。また、永久歯には神経も正常に備わっています。

一方で、乳歯のむし歯を放置してしまい、早期に乳歯を失った場合には、永久歯に影響が及ぶ可能性があります。具体的には、永久歯が正しい位置に生えにくくなり、歯並びが乱れる原因となることがあります。そのため、乳歯をできるだけ健康な状態で維持することが重要とされています。

また、乳歯の神経を除去する治療は必要に応じて行われますが、可能であれば神経を保存する治療が選択されることもあります。乳歯の健康を守るためには、早期のむし歯予防や定期的な歯科検診が大切です。

乳歯の神経を残す治療

乳歯の神経を残す治療

むし歯が神経まで到達しているかわからない場合、神経を守るための治療法がとられることがあります。以下で解説します。

非侵襲性歯髄覆罩(しずいふくとう)

非侵襲性歯髄覆罩(しずいふくとう)は、乳歯の神経を守るための治療法の一つです。 この方法では、むし歯が神経の近くまで進行していても、神経を露出させずに治療を行います。具体的には、むし歯部分の一部をあえて残し、その上に薬剤を塗布することで、残された部分を無菌化し、象牙質の再石灰化や新たな象牙質の形成を促します。

この治療は、神経を温存することで歯の自然な機能を保つことが期待されます。
さらに、象牙質と歯髄の間に保護層が形成されることで、感染の再発を防ぐ役割も果たすとされています。ただし、すべての歯科医院で対応しているわけではないため、事前に問い合わせて確認することが重要です。

非侵襲性歯髄覆罩は、子どもの歯の健康を守りながら、神経をできるだけ温存するための有効な選択肢の一つとなるでしょう。

直接覆髄(ふくずい)

直接覆髄は、むし歯の治療中に神経が一部露出してしまった場合に行われる処置です。 露出した神経部分を薬剤で直接覆うことで、神経を保護しながら歯の健康を維持することを目的としています。この方法では、MTAセメントという材料が使用されることが多く、修復象牙質(第三象牙質)の形成を促進するとされています。

適応となるのは、細菌感染のない露髄面で、露髄の範囲が小さい場合(直径2㎜以下)に限られます。ただし、細菌感染の有無を正しく判断するのは難しいため、術後に歯髄炎が生じるリスクや、神経が失活してしまう可能性もあるとされています。
そのため、治療後は経過観察が重要です。

治療手順としては、まず露髄部分を消毒し、歯髄保護処置を行った後に、歯の内部をコンポジットレジンで充填します。ラバーダム防湿を使用し、感染リスクを可能な限り抑えながら治療が進められることもあります。

直接覆髄は、乳歯の神経を残すための選択肢として有効とされますが、適切な診断と継続的なフォローが必要です。

小児歯科で定期検診を受けよう

小児歯科で定期検診を受けよう

子どもの歯を健康に保つためには、小児歯科で定期検診を受けることが重要です。 以下では、定期検診で得られる効果について詳しく解説します。

むし歯を早期発見・早期治療

定期的に小児歯科で検診を受けることは、乳歯の健康を守るためにとても重要です。
乳歯は未熟でやわらかいためむし歯になりやすく、進行も速いとされています。
初期段階のむし歯は子ども自身が気付きにくいため、家庭でのケアだけでは発見が難しい場合があります。定期検診では、こうしたむし歯を早期に見つけて治療することが可能とされています。

むし歯を放置すると、乳歯だけでなく永久歯にも悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、むし歯菌が増加することで永久歯がむし歯になるリスクが高まり、さらに乳歯のむし歯が歯根に達すると、永久歯の発育不全を招く場合もあります。
その結果、永久歯が変色したり、正しい位置に生えないことがあるでしょう。

また、むし歯が進行して乳歯を抜歯すると、隣接する歯が移動して歯並びが悪くなるリスクも考えられます。このような問題を防ぐためには、定期的な検診による早期発見と早期治療が欠かせません。

正しいセルフケアを身に付ける

小児歯科で定期検診を受けることは、子どもが正しいセルフケアを身に付けるために重要な機会となります。
検診では、日常の歯磨き方法が正しいかを確認し、必要に応じて指導が行われます。
例えば、磨き残しが多い部分や癖を特定し、歯磨きの改善ポイントを具体的に学ぶことができるでしょう。

なかでも乳歯の時期から適切なセルフケアを習得することは、永久歯が生えた後のむし歯リスクを軽減するうえで重要とされています。
また、定期検診を通じて歯磨き方法だけでなく、適切な食生活やおやつの選び方についてのアドバイスを受けられます。
これにより、口腔内の健康への意識が高まり、将来の歯の健康を守る土台が築かれると期待されます。

歯並びや噛み合わせのチェックも行える

小児歯科での定期検診では、むし歯の有無だけでなく、歯並びや噛み合わせの状態も確認できます。乳歯から永久歯へ生え変わる時期や顎の成長過程で、歯並びや噛み合わせに異常が生じることがあります。歯並びが悪いと見た目への影響だけでなく、歯磨きが難しくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まることもあるでしょう。

奥歯の噛み合わせが不正な場合、将来的に歯列不正や不正咬合につながる可能性があります。これを放置すると、永久歯が生え揃った後に矯正治療が必要となる場合、大がかりな処置や手術が必要になるケースも考えられます。
そのため、定期的な検診を通じて、早期に異常を発見し、適切なタイミングで治療を始めることが重要です。

まとめ

まとめ

ここまで乳歯の神経を抜く場合についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • 乳歯の神経を抜く治療は、むし歯が進行して神経に達した場合に必要とされ、永久歯の発育や歯並びへの影響を防ぐ目的で行われる処置である
  • 乳歯の根管治療は、痛みや治療後の変色が気になる場合もあるが、適切な処置とケアにより子どもの歯の健康を守る重要な治療である
  • 乳歯の根管治療は、神経の除去、根管の拡大、洗浄・消毒、薬剤充填の3段階で行われ、歯の健康と永久歯への影響を守る処置である

お子さんの大切な歯を守るためには、早期のケアや定期検診が欠かせません。
乳歯は一時的なものと思われがちですが、その健康が永久歯や将来の歯並びに影響を与えることもあります。不安や疑問がある場合は、信頼できる歯科医師に相談しながら、お子さんにとって適切なケアを選びましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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