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根管治療

根管治療における奥歯の治療法|対処法や知っておきたいことも解説

根管治療 奥歯

むし歯が神経まで達している場合、神経の治療が必要になります。これが根管治療と呼ばれるものです。

根管治療で奥歯を治療する場合、注意しなければならないことがいくつかあります。奥歯の神経は前歯に比べると特殊な形状になっているからです。

本記事では、根管治療における奥歯の治療法を詳しく紹介します。また、奥歯の根管治療の対処法や知っておきたいことも解説します。

奥歯の根管治療について知りたい方は参考にしてください。

根管治療における奥歯の治療

歯科治療

根管治療について教えてください。
根管治療の根管とは歯の神経が通っている管のことです。根管治療は「根の治療」や「歯の神経の治療」ともいわれ、むし歯に感染した歯の神経・細菌・過去に詰めた古い充填剤などを除去してきれいにします。深いむし歯などにより、歯の神経が炎症や感染を起こした場合に行われます。
根管治療を行わないと歯の根の先端まで炎症が拡大し、激しい痛みや歯を失うなどの結果になりかねないため重要な治療です。根管治療では、死んだ神経を除去するとともに、根管内を洗浄・消毒し、薬剤を詰める治療が行われます。
根管治療における奥歯の治療法について教えてください。
奥歯の場合、前歯に比べて根管の数が多いことが多く、1~4本の根管があります。そのため、前歯に比べると治療には時間がかかります
また、奥歯の場合は根の中が複雑になっていることが多いだけでなく、奥歯自体もお口のなかでは奥にあり見えにくいことも特徴です。そのため、前歯よりも難しい治療を行う必要があるでしょう。
治療自体は通常の根管治療と同じで、細菌に感染した神経を除去するとともに、根管内を洗浄・消毒し、薬剤を詰める治療を行います。
奥歯の根管治療の流れを教えてください。
奥歯の根管治療は次のような流れで行います。

  • 診査・診断
  • 根管形成
  • 根管貼薬
  • 根管の充填
  • 補綴

最初に患者さんの診査・診断を行います。歯科医師が患者さんのお口の中を見て確認したり、レントゲンなどの検査機器を使用して、むし歯や歯周病の有無や状態を詳しく調べます。
歯の神経が細菌に感染して炎症を起こしている場合、神経の除去が必要です。これは、抜髄と呼ばれ、麻酔をしてから感染した神経を取り除きます。
歯の根の状態を確認しながら、リーマーと呼ばれる器具を使って根管内部の細菌の除去を行うのが一般的です。その後で根管内部に殺菌効果のある薬剤を詰めます。
根管内部がきれいになったら薬剤を詰めて根管内部にフタをします。これは根充と呼ばれる治療です。最終的に、型取りして被せ物を歯に装着します。

根管治療における補綴治療法とはなんですか?
根管治療が必要な多くのケースで、歯には補綴物が装着されています。そのため、むし歯や根の内部の汚れを除去する前に補綴物を取り除かなければなりません。
その際には健康な歯の部分をできるだけ削らないことが重要です。これは根管治療を行った歯を長持ちさせるためです。
根管治療を行った後も再び補綴治療を行います。この際には見た目をきれいに仕上げるのみでなく、隙間ができないように正確に補綴物を取り付けることが重要です。
もし、補綴物と歯の間にわずかでも隙間があると、そこから細菌が入り込んで症状が再発する可能性があるためです。

奥歯の根管治療の対処法や難易度

カウンセリング

奥歯の根管治療の対処法にはどのようなものがありますか?
奥歯だけに限りませんが、根管治療では細菌の侵入を防ぎ、神経が細菌に感染するのを予防する必要があります。すでに説明したとおり、補綴物を装着する際に歯との隙間をできるだけなくす以外にも対処法があります。
それは、ラバーダム防湿といわれる方法です。ラバーダム防湿は、専用のゴムのシートに小さな穴を開け、治療する歯をその穴に通す方法です。そうすることにより、お口の中と歯を分離でき、根管への細菌感染を防ぐのに役立ちます。
ラバーダム防湿は奥歯の根管治療を成功させるのに有効ですが、行っている歯科医院が少ないのが現状です。
奥歯の根管治療の難易度について教えてください。
奥歯の根管治療は前歯に比べると難易度が高くなります。奥歯は前歯よりも根管の数が多いからです。
また、奥歯の根管は形が曲がっていたり、網の目のような構造になっていたりする場合もあり、大変複雑です。歯は奥に行く程見えにくくなるだけでなく、器具も届きにくいため、難易度が上がります。
根管治療は、ほかの組織が傷つかないように神経を取り除きながら行う治療です。そのため、歯科治療の中でも精密な治療が必要なものの一つです。そのなかでも奥歯の根管治療は難易度が高い治療でしょう。
通院回数はどのくらいですか?
奥歯の根管治療の場合、根管の数が多いため、通院回数は増える傾向があります。消毒が終わってから補綴物を装着する必要もあるため、全体では5~7回程度の通院回数になるでしょう。
1回ごとの治療の間隔は症状の程度によって変わりますが、2週間程度様子をみてから再度薬を詰めて消毒するケースが一般的です。通院回数は再治療が必要になった場合は増えることになります。また、初回の治療でも症状が重い場合は通院回数が増えるでしょう。

根管治療における奥歯治療で知っておきたいこと

レントゲン説明

奥歯の根管治療で知っておくべきことはありますか?
奥歯の根管治療は難易度の高い治療となるため、経験のある歯科医院で診てもらうのがおすすめです。それとともに、根管は非常に複雑な形状をしているため、肉眼での確認には限界があります。
奥歯の場合は、なおさら肉眼での確認は困難です。そのため、治療ではマイクロスコープや歯科用CTなどを使用して、根管の形状を把握する必要があるでしょう。これらの機器は必ずしもすべての歯科医院に導入されているわけではないため、設備が充実しているかどうかも事前に確認しましょう。
また、根管治療を行わないと歯が失われる危険が大きくなるため、できるだけ早期に治療を開始することも重要です。
根管治療は保険適用されますか?
根管治療は前歯・小臼歯・大臼歯を治療する場合、保険が適用されます。治療費は3,000~5,000円程度になるでしょう。
治療する根管の数により費用が異なります。保険適用で根管治療を行う場合、費用は安いですが、限られた機器や材料で処置を行うことになります。そのため、根管治療を自費診療で行っている歯科医院も多くあります。
自費診療で根管治療を行う場合、クリニックによって費用は異なりますが、相場は5万~20万円(税込)程度になるでしょう。精密機器や精度の高い補綴物が作成できるため、再発率を抑えられるのがメリットです。
通院前に痛み止めを飲んでも大丈夫ですか?
根管治療を受ける前から痛みが発生しているケースでは、市販の痛み止めを飲みたいと考える場合もあるでしょう。根管治療前に痛み止めを飲むことにより、施術後の痛みを軽減するのに役立つ場合があります。
根管治療後の痛みが気になる場合は、事前に痛み止めを服用してもよいか歯科医師に相談してみましょう。なお、根管治療を行った場合、施術後に痛みが出るケースが多いようです。
場合によっては痛み止めが効かないような痛みや腫れが生じる場合もあります。再治療が必要となるため、早めに歯科医院に連絡しましょう。

編集部まとめ

治療室

奥歯の場合、前歯に比べて根管の数が多く、1~4本程度の根管があります。また、形状もより複雑です。

そのため、より精度の高い補綴物やラバーダム防湿などが望ましい治療になります。こうした治療は保険適用がされず、自費診療となる場合が多いでしょう。

保険適用でも治療は可能な場合もありますが、再発率は高くなる可能性があります。どちらの治療がよいか、歯科医師とよく相談して決めるようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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